空前の円安でも苦戦、電子部品“反転”の次なる本命、中国とスマホは望み薄だが車載とAI関連は期待大
長い調整局面は2023年度後半に底を打ち、中国のスマホ市場は上向きつつある。ただ、台数が増加しているのは新興国向けの低価格帯機種が中心だ。太陽誘電の担当者は前期の大幅減益について、「値段が下がりやすい中華スマホ関連部品の割合が増えたため」と説明している。 ■生成AI搭載スマホはこれから 明るい話題もある。サムスン電子は4月、生成AIを搭載した「Galaxy S24」「Galaxy S24 Ultra」の2機種を日本で発売。ほかの競合セットメーカーも追従する流れで、買い替え需要の喚起が期待される。
ただ現状はソフトを載せているだけで基本的な設計は変わらず、部品の搭載点数が増えるわけではない。電子部品メーカー各社への好影響はまだ限定的との見方が強い。村田製作所の中島規巨社長は「AIチップを搭載したスマホの登場は、来年以降になってくると思う」と述べた。 中国需要の失速やスマホ需要一巡などの厳しい事業環境に直面した電子部品業界だが、ようやく長いトンネルを抜けつつある。自動車やAI関連を軸に反転し、新たな成長曲線を描けるか正念場だ。
石川 陽一 :東洋経済 記者