日本の選択「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か 「扶養控除」をなくし「子ども支援」を徹底すべき
しかし、高齢者自身の平均年齢が上がっているので、仮に今まで以上に高齢者層の労働参加率が高くなったとしても、生産性の極めて低い層ができあがるだけの結果になるのは想像にかたくありません。 結局、経済規模を維持するために、論理的に残される選択肢は、次の2択です。 (1) 女性活躍によって労働生産性を上げる(質の向上による成長) (2) 移民を増やして労働者の数を維持する(量の増加による成長) 先ほど説明したように、日本では第2次安倍政権以降、女性の労働参加率が上昇しましたが、生産性を向上させる結果には結びついていません。
たしかに女性の労働参加率は上昇しましたが、前回の記事で説明したように、新たに職に就いた女性の大半はアルバイトかパートで、最低賃金かそれに近い報酬しか手にできていません。 ■なぜ女性の生産性は上がらないのか 最低賃金またはそれに毛の生えたような低賃金しかもらえていないということは、付加価値の低い仕事しか任されていない実態を映し出しています。 アルバイトとパート、つまりフルタイムではない人が多いので、働いている人数は増えますが、働いている時間は正規雇用と比べて短く抑えられています。とりあえず、何らかの形で仕事についた人は増えたものの、フルに活用されていない人が増えただけというのが実態なのです。
日本人女性の能力は、男性と比較しても決して低くはありません。そのように高い能力を備えているのにもかかわらず、彼女たちの収入は20代でピークを打って、その後はずっと下がり続けてきたのがこれまでの現実です。 女性の収入水準を男性と比べると、20~24歳で86.8%になるものの、それ以降は55~59歳までずっと下がってしまってきました。結果として、日本の場合、女性の所得は男性に比べて平均55.4%にとどまってしまっています。
ちなみにアメリカの女性の所得は男性の83.0%ですので、日本でいかに男女の収入格差が開いてしまっているか、理解していただけると思います。 ■日本とアメリカの差は雇用形態の差 この差の最大の原因は雇用形態です。日本の女性は男性と違って、25歳から64歳まで、圧倒的に非正規雇用が多いです。2022年末では、男性の正規雇用比率は77.5%だったのに対し、女性は45.6%しかありませんでした。女性は労働力の47.1%を占めていますが、女性の非正規雇用は男性の2.2倍で、68.3%を占めていました。