チームのアイデアが光る近年のF1マシン10選。レギュレーションが厳しくなっても、個性的なマシンは生まれる
F1の歴史は70年以上。その間、さまざまなデザインのF1マシンが登場し、シーンを沸かせた。 【ギャラリー】これが鬼才の仕事。エイドリアン・ニューウェイ作のベスト10マシン レギュレーションが緩かった初期から1990年代にかけては、特にそういうエポックメイキングなマシンが多かった。そして最近ではレギュレーションが実に厳しくなり、他とは大きく異なるデザインのマシンが登場する可能性が小さくなった。 しかしそんな中でも、多くのチームが少しでも他のチームよりも勝ろうと、さまざまなデザインのマシンを考えだし、誕生させてきた。 ■ウイリアムズFW26(2004年):セイウチノーズ ウイリアムズが2004年に登場させたFW26は、ノーズ本体は短く、そこから前方に向かって孤のようにステーが伸び、フロントウイングを支えた。通称セイウチノーズである。 当時のF1マシンはノーズが高く、そこからフロントウイングを吊り下げるのが一般的であった。これにより、コクピット下に気流を取り込み、ダウンフォースを発生させることを狙った。 このFW26はノーズ先端を広げることで多くの気流を取り込むことを考えたのであろう。 ただ、強度を上げるためにフロント部分の重量が増加。マシンの戦闘力が不足し、シーズン途中で従来型のオーソドックスなノーズに変更されることになった。
ホンダRA107(2007年):ダウンウォッシュ
2007年シーズン、ホンダはアースカラーを纏ったRA107を登場させた。マシンからスポンサーロゴを一切排除した、画期的な存在だった。 しかしマシンの戦闘力は優れず、入賞はジェンソン・バトンの3回のみ。ルーベンス・バリチェロは1度も入賞できずに終わった。 ただマシンのコンセプトは時代を先取りしていた。サイドポンツーンはコンパクトで、激しく後傾していた。つまり、現在のマシンに通じる、ダウンウォッシュを取り入れていたのだ。しかしながら当時はまだ、気流の剥離をコントロールし切れず、パフォーマンスを発揮することができなかったのだ。