【追悼】星野富弘さんが手足の自由失って生み出した「花の詩画展」 口に筆くわえ創作活動、国境超えて「生きる力」に
「痛みを感じるのは 生きているから 悩みがあるのは 生きているから 傷つくのは 生きているから 私は今 かなり生きているぞ」 そして人気作という「たんぽぽ」はシンプルな生き方を教えてくれる。 「いつだったかきみたちが 空をとんでゆくのを見たよ 風に吹かれて ただひとつのものを持って 旅する姿がうれしくてならなかったよ 人間だってどうしても 必要なものはただひとつ 私も余分なものを捨てれば 空がとべるような気がしたよ」 「花の詩画展」を開く会の会長を務めた社会福祉法人「こころの家族」理事長の田内基(たうち・もとい)さんは、そんな星野さんの数々の作品の中でも「サフラン」から日本と韓国で過ごした自分の人生を想い、胸が熱くなるのだという。風雨に耐え、ようやく一年に一度だけ薄紫色の美しい花を咲かせるサフランと自分を重ね合わせたような詩画である。 「冬があり 夏があり 昼と夜があり 晴れた日と 雨の日があって ひとつの花が咲くように 悲しみも苦しみもあって 私が私になってゆく」
2006年には名誉県民に選ばれた星野さん。想像を絶する苦悩の日々を乗り越え「私が私になってゆく」という言葉からは、障害を負っても新たな道を切り開き、後世の人々にも生きる喜びや希望を与えてくれる人生訓が伝わってくる。