【追悼】星野富弘さんが手足の自由失って生み出した「花の詩画展」 口に筆くわえ創作活動、国境超えて「生きる力」に
▽やさしさの原点、追悼展に「母の日」でケーキのプレゼントも 今回の「花の詩画展」はパンフレットに「やさしさとの出会い」と題されて「苺」という次の作品が大きく紹介された。 「苺という文字の中に 母という字を入れた 遠い昔の人よ あなたにも 優しいお母さんが いたのでしょうね 時代は変わりましたが 今の子供達も 苺が大好きです お母さんが大好きですよ」 詩画展開催の実行委員長を務めた多胡元喜(たご・もとよし)さんは「星野作品はいつでもやさしさに出会える、というのがキャッチフレーズでもある。この作品も母への思いが伝わるもの。人と人との関わり方がいろいろ問われる分断の時代で、星野作品は人生の悲しみや苦しみを乗り越えて慰めを与え、生きる力になる。家族の絆や人としてのやさしさが多くの人に共感を呼ぶのでしょう」と解説する。 展示会開催中の5月12日は「母の日」でもあり、生前の星野さんと交流があった山崎製パンの飯島延浩(いいじま・のぶひろ)社長から追悼展にイチゴのショートケーキ300個がプレゼントされたという。
星野さんが入院中、献身的に看護してくれた母への感謝をつづった作品「ぺんぺん草」は人気も高く代表作の一つだ。 「神様がたった一度だけ この腕を動かして下さるとしたら 母の肩をたたかせてもらおう 風に揺れるぺんぺん草の 実を見ていたら そんな日が本当に 来るような気がした」 ▽星野作品の魅力と生きる力の人生訓 「花の詩画展」開催の実現には高齢者福祉施設「故郷の家・東京」に入居する高良順さんが30年以上前に「富弘美術館」で作品を鑑賞後、草花が咲く「鈴の鳴る道」と呼ばれるコースを車いすで散策していた星野さんと偶然出会って言葉を交わした体験が原点にあった。作品を通した心のつながりが、自身にとっても生きる勇気になり、周囲の尽力もあって開催につながったという。 草花をモチーフにした星野さんの作品は、人生の悲しみや苦しみも描かれ、さまざまなことを教えられることも魅力の一つ。作品「生きているから」はそんな代表作といえる。