「憎たらしい選手だと思われているはず」準決で地元選手に競り込んだ鈴木玄人が本心明かす/熊本競輪G3
熊本競輪「開設74周年記念・火の国杯争奪戦(G3)」は6日に最終日を開催。7Rの特選を走った鈴木玄人(28歳・東京=117期)に話を聞いた。 3日目の準決勝11Rで地元作戦が決まり、場内は大いに沸いた。続く12R、赤板で脇本雄太が車を下げると、坂井洋と別々で単騎戦だった鈴木玄人が内から斬り込んで地元の中本匠栄と並走に。中本が番手を守ったが、脇本の仕掛けに付いていけず。地元ファンにとっては"鈴木の動きが…"と思わざるを得ない結果になってしまった。 最終日の7Rも鈴木は暴れた。仕掛けが合わされると外から志智俊夫をさばき、志智に内を突かれて後退したかに見えたが、また内を踏んでいった。4着で車券には絡めなかったが自身が話す「諦めの悪さ」は見せてくれた。レース後、準決勝の走りを中心に彼の胸の内に迫った。 「準決勝は坂井さんと別でそれぞれ単騎。ラインが出来ればまた違うけど、単騎なのでいつもよりさらに自己中心的に走れた。本当は前の方から先捲りに行こうかなと思っていたけど、坂井さんが3番手に追い上げてきたので…。別でやった以上は自分にも意地があるので、近くでレースはしたくなかった。動きを見て考えて、脇本さんの後ろを狙うのがもっとも勝ち上がりに近いのかなと思った。咄嗟の判断で、あぁいうレースになりました」 熊本競輪場で9年ぶりの記念開催。大いに盛り上がっている中で地元選手へ敢然と勝負に行った。青森記念決勝の眞杉匠もそうだったが、かなり勇気が必要な決断だっただろう。 「お客さんが見た通りだったと思う。自分は脚が足りていないし、しがみついていくしかない。かわいげがない、憎たらしい選手だと思われているはず。周りがやらない事をやりたいと思う。地元だから(行かない、遠慮する)とかはないですね。車券を買ってくださるお客さんは神様。今後も意思表示は示していきたい」 そして最後には「次の青森までにしっかりと練習して脚を作っていきたい。9着よりも8着、8着よりも7着、7着よりも…。とにかく一つでも上の着を目指していく。袖を引っ張ってでも、のくらいの気持ちで。本当に引っ張ったら失格になってしまうので(苦笑)」 根底にあるのは“自分から買ってくれるファンのため”に走る。ライン戦には“競輪道”や“絆”という側面もあるが、勝負の世界はそうも言っていられない。一つでもいい着を取るために「何をやるか分からない」デンジャラスな選手ではあるが、鈴木玄人はそういう選手だと思って車券戦術を組み立てていくのが正しいのだろう。(netkeirin特派員)