中学受験をしないからこそ身に付く力がある…「戦略的高校受験」という新アプローチ
ここ数年「中学受験率」は上昇し続け、何かと話題になることが多い。子どもが頑張れるのであれば成長のきっかけになるが、無理やりやらされている…と感じている場合は親子関係が悪化し、その後に大きな影響を及ぼすことにもなりかねない。 【写真】公立中高→ハーバードを育てた勉強習慣「小1からのTO DO リスト」とは 激化しているように見える受験事情だが、少しずつ変化も見え始めている。たとえば子どもの希望校だけを受ける「ゆる中学受験」や「高校受験」という選択をする家庭も増えてきているというのだ。 今回は、Xで4.5万人のフォロワーを持つ“東京高校受験主義(東田高志) ”さんが提案する、「戦略的高校受験」を紹介する。「わが子は中学受験に向いていないかもしれないが、より良い教育を受けさせてあげたい」と願う保護者に向けた、新しい提案とはーー。 新刊『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと: 4万人が支持する塾講師が伝えたい 「戦略的高校受験」のすすめ』(Gakken)から抜粋し、一部修正して3回にわたってお届けする、1回目・前編。
「戦略的高校受験」という黄金ルート
中学受験には合う子、合わない子がいて、家庭にも適性があると前章では述べました。「うちは高校受験が適しているかもしれない」と思った親御さんもいるでしょう。ところが話はそう簡単でもありません。中学受験率が跳ね上がった都市部で中学受験をしない選択をするのは、周囲の同調圧力に従わない勇気のいる選択だからです。 たとえば文京区のように中学受験率が50%を超える地域では、高校受験を選択した家庭は「子どもが放課後に遊ぶ友人がいない」という問題に直面します。小学4年生にもなれば、ほとんどの子が塾に通うようになる東京都心部では、友人と放課後に遊ぶ光景は消滅しています。 さらに、「大学受験は中高一貫校が有利」という言説に囲まれながら、中学受験を選ばなかったことに対する不安にさいなまれる保護者も少なくありません。 私が推奨するのは、中学受験の道でもなければ、一般的な高校受験の道でもありません。「戦略的高校受験」という第三の選択肢です。これこそが、中学受験を意識せざるを得ない公立志向の家庭の最善の道だと思っています。