本屋大賞の辻村深月氏「居場所がないと感じている人たちに」エール
全国の書店員が選ぶ「2018年本屋大賞」が10日発表され、辻村深月氏の「かがみの孤城」が大賞を受賞した。
大賞受賞を知ったのは「家で子どもの算数のプリントをやっているとき」だったと、受賞発表後の会見で辻村氏は笑った。 同作は、中学1年生の少女「こころ」を主人公に、中学生の不登校やいじめなどの問題も扱う。「大人や子どもに限らず、自分に居場所がないと感じている人や自分に味方がいないと感じている人に、ページを開いている間だけは、こころたちと友だちになってもらうような読み方をしてもらえれば幸せ。子どもの時間が大人の今の時間につながっていることを読んでもらえればすごく嬉しい」と喜びを語った。 本屋大賞の過去の大賞作は、第1回の「博士の愛した数式」を皮切りに、「夜のピクニック」(第2回)、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(第3回)、「ゴールデンスランバー」(第5回)、「海賊とよばれた男」(第10回)、「羊と鋼の森」(第13回)など、数多くが映像化されてきた。 「かがみの孤城」の映像化については「ファンタジーなので、クライマックスのシーンは自分の中ではアニメーションでずっと動いている気がした。実写化も嬉しいがアニメ化してもらえたら嬉しい」と述べた。 同大賞は今年で15回目で、有志の書店員で構成するNPO本屋大賞実行委員会が主催。実際に書店で働く書店員による投票で決める。今回は全国の504書店、665人の投票により10作品がノミネート後、10作すべてを読んだ311書店、374人の二次投票により大賞が選ばれた。 《歴代大賞作品》 第1回:小川洋子「博士の愛した数式」(新潮社) 第2回:恩田陸「夜のピクニック」(新潮社) 第3回:リリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(扶桑社) 第4回:佐藤多佳子「一瞬の風になれ」(講談社) 第5回:伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」(新潮社) 第6回:湊かなえ「告白」(双葉社) 第7回:冲方丁「天地明察」(角川書店) 第8回:東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」(小学館) 第9回:三浦しをん「舟を編む」(光文社) 第10回:百田尚樹「海賊とよばれた男」(講談社) 第11回:和田竜「村上海賊の娘」(新潮社) 第12回:上橋菜穂子「鹿の王」(KADOKAWA 角川書店) 第13回:宮下奈都「羊と鋼の森」(文藝春秋) 第14回:恩田陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)