〝伝統〟色濃く残る男子学生寮・和敬塾 共同生活通じて「人間の幅広げて」 現着しました!
先輩・後輩との共同生活を学生たちは有意義と感じているようだが、入学当初の上下関係に苦労したという学生も多い。
入塾した1年生はまず「新歓」と呼ばれる、2年生から各寮のしきたりや規則、上下関係の指導を受ける期間に入る。北寮1年の大野晃史さん(19)は「入塾してからしばらくは、寮独自のルールや言葉遣いに苦労した」と話す。上級生にも苦悩がつきまとうといい、新南寮2年の津田弘基さん(21)は「2年生になったらなったで、新入生にルールを教えないといけない」と、上級生の苦労を口にする。
だが学生たちは、他人と接したりさまざまな行事をこなしたりする中で、楽しさがつらさを上回るのだという。現在和敬塾で理事長を務める前川正さん(57)は「自分とは相いれない異質な他人を知り、そこから自分を知る経験をして、人間の幅を広げてほしい」と共同生活の重要性を語る。
和敬塾では現在、学生たちの成長のプロセスを「和敬学」という新たな学問体系として確立することを目指している。「フレキシブルな人材を育成することは、昨今さらに重要なミッションになっている。学生たちがなぜこの環境で成長するのか、それを解き明かしていきたい」と前川さんは〝未来の和敬塾〟を見据えた。(宮崎秀太)