パリ五輪主将務めたMF藤田譲瑠チマが待望A代表入り「自分たちの世代もどんどん上を脅かす存在に」
いよいよ本当の勝負のスタートライン――。そんな緊張感や高揚感が表情から伝わった。 【写真】「昇天した」「救急車で運ばれちゃう」伊東純也のモデル顔負けショットに大反響…久保建英らも脱帽 パリ五輪でU-23日本代表のキャプテンを務めたMF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)が北中米W杯アジア最終予選のサウジアラビア戦を2日後に控えた8日の練習後、取材陣に対応。横浜FMに所属していた22年7月のEAFF E-1選手権以来、2年ぶりの日本代表活動に、「久々と言ってもこのチームは初めて。新たな気持ちでできたらいいなと思う。自分にできること、やるべきことは変わらない。それらを全うしてチームのために働けたらいい」と力みのない言葉で意気込みを語った。 一方で、大きな刺激も受けている。練習で感じたのは「スピード感が速いし、居残り組のシュート練習に混じってみても、質がすごく高い」ということ。しかし、この2年で個の質を高めてきたという点に関しては藤田も負けてはいない。熾烈だったパリ五輪アジア予選を勝ち抜き、パリ五輪を戦い、所属のシントトロイデンでは出場機会の確保に苦しんでいた1年前とうって変わってレギュラーの座を手にした。「チームが勝つためにバランスを取ることや、相手の攻撃の芽を詰むことはやっぱり意識的にやりたい」と語る様子には、他の選手にはない自身の特徴への矜持が見える。 五輪チームはベスト8でスペインに敗れ、大会を去ったものの、パリ五輪では個としての成長を実感した。それだけに、9月シリーズで森保ジャパン復帰を果たせなかった時は「悔しい部分もあった」というのが本音だ。今回はその思いをぶつける場でもある。 代表発表会見では森保一監督が藤田について「6番だけでなく8番のプレーもやってほしい」と言及した。 これに関しては「自分が思うのは意外とドリブルで運べるシーンも少なくないなと思うので、そういったところも強みになると思う。チーム(シントトロイデン)でも6番的な立ち位置だけど時間帯によっては8番の仕事をすることも少なくない」と語るように、藤田自身も前向きだ。 「東京五輪の時と比べたら選手それぞれのレベルが相当上がっている。そこに食い込んでこそパリオリンピックが意味のあるものになると思う。自分たちの世代ももっと頑張ってどんどん上を脅かす存在になれたらいい」 目指すは日本代表に定着して26年の北中米W杯で日本に勝利をもたらす選手になること。新たなスタートに気を引き締めた。 (取材・文 矢内由美子)