借金だらけだった俳優・高橋英樹さんが40年以上初日に確定申告する理由 「毎年2月がお正月」コツは宿題と同じ、ため込まず日頃からやること
2月16日から、2023年分の確定申告がスタートする。毎年申告が始まるこの時期になると、期限ぎりぎりまで膨大な事務作業や、経理書類の山と格闘する人も多いだろう。そんな中、俳優の高橋英樹さんが1979年から45年間、申告開始初日の朝に申告を済ませ続けているのはご存知だろうか。今年80歳を迎えた昭和のスターが、なぜ毎年自ら税務署に足を運ぶのか。「初日申告」へのこだわりと思いを聞いた。(共同通信=助川尭史) 「納税より生活再建優先して」 国税局、被災者に異例の呼びかけ
―初日申告を始めたきっかけを教えてください。 「最初は国税庁の方から初日に確定申告をしてくれないかとお話しがあったのがきっかけです。当時は私だけでなく、いろんな芸能人がPRの一環として初日に税務署に行って、取材を受けていました。私もそれまでは期限までに済ませれば良いという考えだったんですけど、一回やってみると、もうすっきり感がたまらないんです。その経験が忘れられずに、翌年から一度も欠かさず、初日に申告を続けています」 ―豪快なイメージがある昭和のスターの方は、お金に無頓着なイメージがありました。 「先輩たちはもうむちゃくちゃな人たちがいっぱいで、若い頃は税金の話なんてしている人は一人もいませんでしたね。私もご多分に漏れず、芸能界に入って映画に出ていた頃は銀座や赤坂に繰り出して、スタッフみんなにごちそうしたりしていました。いくら使ったなんて何も覚えていない。働いたお金は全部自分のお金だと思っていました」
―なぜ、税に関心を持つようになったのですか。 「ずっとそういう生活を続けていたので、結婚する時には、借金しかなかったんです。見かねたうちの奥さんが経理をしてくれることになり『稼いだもの全てがあなたのものではない』と諭されました。貧しくて食べるものも着るものもなかった日本の発展の基礎になったのが、みんなが働いて納めた税金なのだと。それがきっかけで税に関心を持つようになり、夫婦で税務署に行くのが恒例行事になりました」 ―当時は会計ソフトもない時代。すごく大変な作業だったのではないでしょうか。 「日々使ったものをメモして、月ごとにこまめに経理書類をまとめる作業をずっと続けています。だいたい毎年ノート数冊分になりますね。初日申告に間に合わせるには、1年分の書類を全部集めて、正月休み返上で帳簿付けをしないといけない。うちでは2月をお正月と呼んでいるんです。申告を済ませて夫婦でちょっと乾杯して、初めて新しい1年が始まる感じがします。今は(インターネットで納税手続きする)e-Taxができて楽になりましたけど、申告までの集計作業は以前と変わらず夫婦2人ねじり鉢巻きでやっています」