「悲しい事件や事故の数だけ被害者や遺族がいる」 北新地放火殺人事件から3年 ″犯罪被害者等給付金”は課題山積の現状 現場近くで遺族や弁護士らが署名活動
2021年12月17日、大阪・北新地にある心療内科クリニックが放火され、院長の西澤弘太郎さん(当時49歳)やスタッフ、患者ら26人が犠牲になりました。クリニックの患者で、ガソリンをまいて放火したとされる谷本盛雄容疑者(当時61歳)は、事件の約2週間後に死亡。警察はおととし、容疑者死亡のまま殺人などの容疑で書類送検し、大阪地検が不起訴としています。
17日で事件から3年。多くの人が現場を訪れ、手を合わせました。 (献花に訪れた人たち) 「友人が亡くなった。時間がとまったままです」 「伝えたかったです。『先生就職決まったよ』って。先生どんな顔されたかな」 「ここへ来てしまうと、当時のことを思い出したり引き戻されてしまうのではないかという恐れもあって、なかなか足が向かなかったが、(今が)意識を向けるタイミングなんだなと思ってきました」 また、西澤院長の妹・伸子さん(47)も現場を訪れ、祈りを捧げました。 (伸子さん)「いろんな講演活動で事件のことを思い出して、いちから話すことも多かったので、前回(去年)より事件に対しての思いは、よく向き合って来たかなと」 「いつも兄は近くにいると思っているし、きょうは本当にここに来たよというか、そんなことを伝えた」
同日に現場近くで署名活動をしたのは「犯罪被害補償を求める会」。主に大阪や兵庫の遺族や弁護士などからなる組織です。犯罪被害者に対する国の支援の拡充を訴えています。 北新地の事件で夫を亡くし、この会に所属している女性はコメントを寄せ署名への協力を呼びかけました。 (夫を亡くした女性)「報道で悲しい事件・事故を知ったとき、その向こうにその数だけ被害者・遺族がいるということ、明日を生きていくことをためらうほどに傷ついている人がいることを忘れないでください。私は自分のような思いをする人を1人でも減らしたいと思っています」 (担当弁護士・奥村昌裕氏)「(補償制度が)これからもっと前進しなければ、将来の被害者に対して十分な給付がされないということ。この活動を続けていって、充実した補償を求めていきたい」