約3割の人が抱えている老後の不安…「老後破産」する人はどれくらいいる?
定年後の生活に不安を感じている人は少なからずいるでしょう。 実際、日本弁護士連合会の調査によると、60代以上で老後破産してしまう人も一定数いるようです。 しかし、事前に老後の状況を予測し対処法を考えておけば、資金不足を防げる可能性は上げられます。 この記事では、老後破産する人はどれくらいいるのか、老後破産に陥らないために今からできる基本的な対策をご紹介します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
老後の不安を抱えている人は多い
内閣府が発表する「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以上の約3割は生活に不安を抱いているようです。 経済的な暮らし向きについての質問で「家計にゆとりがなく、多少心配である」「家計が苦しく、非常に心配である」と答えた人の割合は表1の通りです。 表1
※内閣府「令和5年版高齢社会白書」を基に筆者作成 表1の結果から、おおよそ3割の人が老後の生活に不安を抱えているといえるでしょう。
60代以上の自己破産者数は約26%
老後に不安を抱くだけでなく、実際に老後破産に陥ってしまう人も一定数いるようです。 日本弁護士連合会が発表する「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」では、年代別の破産者数が公表されています。 その結果は表2の通りです。 表2
※日本弁護士連合会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査 破産事件記録調査(2020年)」を基に筆者作成 破産者数全体の約26%、つまり4人に1人が60代以上であることが分かります。 ちなみに、総務省統計局「家計調査年報[家計収支編]2022年(令和4年)家計の概要」によると、65歳以上の無職世帯の平均収入は以下の通りです。 ・65歳以上の夫婦のみの無職世帯:24万6237円 ・65歳以上の単身無職世帯:13万4915円
老後破産しないための基本的な対策
老後破産しないためにまずできることは、収入と支出を把握することです。 仮に定年後働かないという選択をした場合には年金がメインの収入となるため、現役時代と比較すると収入が減少する可能性が高いでしょう。 そのため、以下のようなことを考えておく必要があります。 ・現在の生活を維持するのであればいくらかかるのか ・その金額は年金・貯金・退職金で足りるのか ・足りない場合はいくら足りないのか ・足りない金額を補塡(ほてん)するためにはどこで、どのくらい働くべきなのか ・支出で今よりも削れるところはないか 老後について考えるべきことはいくつかあるため、必要な支出・収入は早めに把握しておくことをおすすめします。