「787-10満席にしたい」429席のANA新国内線フラッグシップ、新千歳出発
全日本空輸(ANA/NH)は3月27日、ボーイング787-10型機の国内線仕様機を就航させ、初便の到着地である新千歳空港で記念式典を開いた。国内線の次世代フラッグシップで、初便の羽田発札幌(新千歳)行きNH59便を皮切りに、那覇、関西、福岡、伊丹の順に国内幹線へ投入していく。 【写真】新千歳空港を出発するANAの787-10国内線仕様機 ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、787-10の国内線仕様機を11機発注済みで、2026年度までに受領する計画。当初は2023年秋に就航予定だったが、ボーイングで787の納入遅延が発生している影響で、現地時間今月17日の初受領となった。 初便の札幌行きNH59便(787-10、登録記号JA981A)は、乗客416人(幼児2人含む)を乗せて羽田第2ターミナルの64番スポットから午前10時18分に出発。C滑走路(RWY34R)から同33分に離陸し、新千歳空港には午前11時46分に着陸し、同52分に到着した。 折り返しで札幌発初便となった羽田行きNH62便は、定刻より17分遅れの午後0時47分に乗客348人(幼児3人含む)を乗せて7番スポットから出発した。羽田には午後2時19分ごろ到着する見通し。 新千歳の搭乗口前で開かれた就航記念式典で、ANA新千歳空港の植松只裕社長は「ANAとしても、本邦キャリアとしても初めて」と、787-10の国内線就航をPRした。新千歳など道内7空港を運営する北海道エアポート(HAP)の蒲生猛社長は「千歳に持ってきていただいたのは本当にありがたい。787-10が満席になるよう努力したい」と歓迎した。 787-10は2クラス429席(プレミアムクラス28席、普通席401席)と、1998年に就航して退役が始まっている777-300の2クラス514席(プレミアム21席、普通席493席)に次ぐ座席数を誇る。シートは2021年12月9日に就航した787-9の国内線新仕様機(2クラス375席:プレミアムクラス28席、普通席347席)と同じで、エンジンも同じくGE製GEnx-1Bを採用している。 置き換え対象となる777-200ERは、2クラス405席仕様(プレミアムクラス21席、普通席384席)と、2019年11月16日に就航した新仕様の2クラス392席仕様(プレミアムクラス28席、普通席364席)の2種類がある。777と比べて提供座席数が増え、約25%の燃費改善が見込まれる。 787は標準型の787-8、長胴型の787-9、超長胴型の787-10の3機種で構成され、787-10は胴体がもっとも長い。全長は787-8(56.7メートル)と比べて11.6メートル、787-9(62.8メートル)より5.5メートル長い68.3メートルで、置き換え対象となる777-200/-200ERよりも4.3メートル長い。787のローンチカスタマーであるANAは、3機種すべてを運航している。 ANAは787-10の国際線仕様機(3クラス294席)を3機導入済みで、初便の成田発シンガポール行きNH801便(JA900A)は2019年4月26日に就航。日本初の787-10で、エンジンはロールス・ロイス製エンジンのトレント1000を搭載し、東南アジア路線を中心に投入している。
Tadayuki YOSHIKAWA