【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(中)
原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」。その地層処分とはいったいどのような形で行われるのだろうか。「幌延深地層研究センター」では実際に地下奥深くまで掘り進め、地震や地下水の影響などの研究を続けている。 (報道局総合ニュースセンター 野田 美佳子/福澤 真由美)
■施設概要とスケジュール
使用済みの核燃料を再処理した後に残る最終的な「核のごみ」、高レベル放射性廃棄物は、厳重に密閉され、何万年もの間、人間の生活環境や地上の自然環境に影響が生じないよう安全に処分されなければならない。 幌延深地層研究センターのミッションは、高レベル放射性廃棄物を容器に密閉した上で埋設する地下深くにおいて、地震や地下水による影響などを調査研究することだ。 2001年から始まった地層処分の調査研究は3段階に分かれている。 第1段階は地上からの調査研究、第2段階は地下施設建設と工学技術の有効性の確認、そして現在は第3段階の「地下施設での調査研究」だ。 地下施設は「換気立坑」「東立坑」「西立坑」があり、深さ140メートル、250メートル、350メートルの場所に3本の立坑をつなぐ水平坑道が造られている。最終的には深さ500メートルまで掘り進める予定だ。 日本国内で最も高いビル・大阪の「あべのハルカス」は300メートルだから、相当地下の奥深くまで掘る計画であることが分かる。 掘削は約80人が交代で昼夜行っていて、岩盤を掘削しては表面をコンクリートで覆っていく。堀り進むのは1日でわずか1メートル程。ちょっと気の遠くなるような作業だ。 地下施設の見学は一般も可能で、年間1500人ほどが訪れている。研究内容は全て公開されていて、写真撮影の制限も一切ない。当日は地元の中学生たちも見学に訪れていた。
■地下施設へ
今回私たちが入るのは「東立坑」。 ここは「地層処分」の純粋な研究施設であり、放射性物質は一切持ち込まれない。このため、内部を取材する際、放射線量を測定する線量計の携帯は不要で、作業用のつなぎ服に着替えるだけだ。ただ、動植物の遺骸から発生するメタンガスが地下水に溶け込んでいる事から、火器類の持ち込みだけは厳しく禁じられている。 案内してくれたのは、研究施設の副所長で工学博士の舘幸男氏。幌延に赴任する前は茨城県東海村の核燃料サイクル工学研究所で研究をしていたそうだ。