【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(中)
入口で「坑内入退カード」をかざし、工事用エレベーターでいよいよ地下へ。 私たちが訪れたとき、東立坑は496メートルまで掘削が進んでいたが、最深500メートルの掘削に向けた準備作業があるため、今回は250メートル調査坑道の見学となった。(9月5日に500メートルに到達)。
深さ250メートルの坑道には約4分で到着。意外と早い。 坑道内部はある程度の高さと幅もあるため窮屈な感じは全くない。内部の室温は本来であれば年間通してほぼ一定となるが、坑道を換気しているため、地上の気温の影響を受けて変化しているそうだ。
使用済核燃料の再処理で発生した廃液はガラスに混ぜ「ガラス固化体」にする。(バリア①) それを金属製の容器に入れ(バリア②)、さらに厚い粘土で囲む。(バリア③)。3重の人工バリアで覆われた廃棄物を300メートルより深い地下の岩盤に埋める(天然バリア)という多重バリアシステムが取られる予定だ。 「ガラス固化体」は発熱しているため、埋める前に地上の中間貯蔵施設に30年から50年置き、ある程度まで冷ます必要がある。 このため、調査ではガラス固化体を模擬したヒーターの人工バリアを深さ350mの岩盤中に埋め、地下水を注入して人工バリアや岩盤の温度・水分の変化を調査する研究などを行っている。
地震による影響についてはどうか。地下においての地震の揺れは観測の結果、地上の3分の1から5分の1と小さい。また、地震の際は岩盤と人工バリアが一緒に揺れることから、人工バリアが破壊される可能性は非常に低いということが分かっている。 では、処分場建設にはどれくらいの広さが必要なのだろうか。 地層処分の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)によると、地下300メートル以深に4万本の廃棄物を埋設できる処分場を造る場合、平面で約600ha~約1000haに複数の立坑や斜坑を堀り、坑道の総延長は約200km~300kmになるとの試算が出されている。 こう考えると、地下奥深くに造るとはいえ、人口密集地に処分場を造ることはやはり考えづらい。「NIMBY=Not In My Backyard(施設は必要だが自宅の庭にはいらない)」という思いは、きっと誰の心の中にもあるだろう。本当に難しい問題だ。