ボーイングのスピリット買収案、1株35ドルと関係者-株式交換軸に
(ブルームバーグ): 米ボーイングは、航空機部品を手掛ける米スピリット・エアロシステムズ・ホールディングスに株式交換を軸とする買収案を提示した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社を1株約35ドルと評価する取引だという。
部外秘情報だとして匿名を条件に話した関係者によると、ボーイングは数カ月に及ぶ両社間の協議の結果、全額現金としていた買収案から株式交換を中心とする提案に最終段階で切り替えた。
24日終値で見ると、1株当たり35ドルとの評価はスピリット株に対して約6%のプレミアムとなる。ボーイングによる買収交渉が公になる前日の2月29日終値からは22%の上乗せになる。
株式交換での買収計画を巡っては、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先に報じていた。ボーイングの担当者はコメントを控えた。
カンザス州ウィチタに本社を置くスピリットの広報担当者、ジョー・ブッチーノ氏は「当社は最高品質の製品を顧客に提供することに引き続き注力する」と述べた。
品質管理強化
株式交換に変更すれば、厳しい財務を余儀なくされるボーイングへの圧迫が幾分和らぐと、関係者は語った。両社はなお最終的な条件を詰めており、少額の現金が含まれる可能性もあるという。
ボーイングが支払い条件を見直す決定を下したことは、今回の複雑な取引における新たな展開であり、スピリットは工場の一部をエアバス向けに分離する必要もある。関係者によれば、この取引は数日以内に発表される見込み。
ボーイングのブライアン・ウェスト最高財務責任者(CFO)は先月、投資適格格付けや現金の保持を目的に、支払いのあらゆる選択肢を検討していると示唆していた。ボーイングは稼ぎ頭の737MAXなどを巡る危機への対応を進める中、財務上のプレッシャーが高まっている。
約20年前に分離したスピリットを再び傘下に収めれば、外部委託路線を転換し、旅客機構造の品質に対する管理を強化できる。