スカンクを狩る唯一の生物、アメリカワシミミズクは自分より数倍重い動物を殺して運ぶ
米国で最も一般的なフクロウの仲間、北極から南アメリカまで広く生息
アメリカワシミミズクは、アメリカで最も一般的なフクロウ科の鳥類だ。頭部にある耳のような羽毛が特徴的なため見分けやすい。この羽角(うかく)と呼ばれる部分は、まるでツノやネコの耳のように見える。 ギャラリー:すごいフクロウ14選、、人気投票も アメリカワシミミズクは順応性のある鳥で、北極から南アメリカまで広く分布している。森林や農地だけでなく、都市郊外にも生息している。北部に生息しているアメリカワシミミズクは冬になると南へ渡るが、ほとんどのアメリカワシミミズクは温暖な地域に定住している。 アメリカワシミミズクは木の穴や切り株、洞窟などに巣を作るが、ほかの大型の鳥類が放棄した巣を再利用するものもいる。一夫一婦制で、1組のつがいが1~5個の卵を育てる。雄雌どちらも子育てをし、オスは狩りも行う。彼らはとてもたくましく、ヒナを猛烈な勢いで守る。ヒナに近付いた人間を攻撃することでも知られている。 ほかのフクロウの仲間と同様に、アメリカワシミミズクは驚くほど強い消化器官を持っている。獲物を丸ごと飲み込み、後から骨や毛などの消化されずに体内に残ったもの(ペリット)を吐き出すことがある。また、アメリカワシミミズクは夜間の狩りを得意としている。頭上から獲物を襲い、強力なかぎ爪を使って自分よりも数倍重い動物を殺して運ぶ。アライグマやウサギ、リス、ペットとして飼われている鳥、ハヤブサ、ほかのフクロウ類など、あらゆる種類の生物を捕食対象としている。スカンクもよく捕食するが、スカンクを捕食対象とする生物はアメリカワシミミズクだけだと言われている。小さな獲物を探すために地上に降り立ち、地面を歩行することもある。 アメリカワシミミズクは主に夜間に活動するため、その姿を目にすることはほとんどない。しかし、日が暮れた後、あるいは夜が明ける直前に、なじみ深い「ホー、ホー」という鳴き声を耳にすることができる。
ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部