後半、突進する李承信＝秩父宮ラグビー場（福島範和撮影）

ラグビーのパシフィック・ネーションズカップ（PNC）は15日、東京・秩父宮ラグビー場で準決勝が行われ、世界ランキング14位の日本は同13位のサモアに49―27で快勝した。21日の決勝（大阪・花園ラグビー場）で同10位のフィジーと対戦する。 日本は前半にCTBライリー（埼玉）の先制トライなど4トライを奪い、28―13で折り返した。後半は3トライを加えてリードを広げた。サモアとの対戦成績は7勝12敗となった。 ◇ 主戦場ではないFBで先発した李承信（神戸）の足がさえた。絶妙なキックでトライシーンを演出し、サモアを相手に22点もの大差をつける原動力となった。マン・オブ・ザ・マッチに輝いた李は「持ち味を存分に出そうと思っていた」と会心の表情を見せた。 日本のギアをグイっと上げた。最初の見せ場は前半6分。前方にスペースがあると見るや、斜め前方にキックで転がし、先制トライを〝アシスト〟。前半16分のWTB長田（埼玉）のトライシーンでは、タックルを受けながら足の外側にボールを当てふわりと浮かせる妙技を見せた。前半39分に自らもインゴールに飛び込み、認定トライを除く前半の3トライ全てに絡んだ。 ジョーンズ・ヘッドコーチ（HC）が司令塔SOとして期待をかける23歳。昨秋のワールドカップでは出場時間わずか4分と辛酸をなめたが、今季は正SOとしてプレーする。この日はチーム事情で代表では初めてFBで先発したが、指揮官は「いい形で順応できていた」と高く評価。SOらしく判断力の高さも見せ、成長を印象付けた。 決勝は世界ランキング10位のフィジーと相まみえる。「組織としてアタックできるか。そこで違いを見せる」と格上撃破を見据えた。（石原颯）