<フィギュアスケート>羽生結弦 金メダルを実現させた海外生活と語学力
■妥協知らず 語学だけでなく選手として大きく成長 微妙なニュアンスを相手に説明するためには、相当な英語力が求められる。金メダルを目指して妥協知らずの生活を送ってきた羽生が、真剣に英語に取り組んできたことが、オーサーコーチの話からも浮かび上がってくる。 ■途絶えることのない羽生の向上心 五輪初出場ながらSPで首位に立ち、金メダルに邁進した羽生は、フリーでいくつかのミスを犯したとき、目標からは遠のいてしまったと感じていたという。 「最初の4回転サルコウで転倒して、(3つめの)トリプルフリップがうまくいかなかったときには、少し金メダルは遠ざかったかなと思いました。後半になるにつれて足が重くなって、体力もなくなり、マイナスな気持ちも出てきて、その中でやるのも大変でした。今回は金メダルはだめだと思っていました」 けれども、最後まで力を振り絞っての演技。それは見ている者を揺さぶり、後から出てくるチャンにも相応のプレッシャーを与えていた。以前の羽生ならフリーの終盤はスタミナ切れが激しく、最後はフラフラになっていたもの。それが今ではしっかりと100%で演じきる筋持久力を手にしていた。全日本選手権の後、「ソチ五輪までさらに自分を“しごく”」と話していたが、実際にどれだけ厳しく自分を鍛え上げていたかがにじみ出る演技だった。 19歳のアスリートにとって金メダルは頂点ではない。羽生結弦はどこまでも向上心を持ち続けながら前進していく。 (文責・矢内由美子)