今だから思うことは「もっと強く大学を勧めてあげたらよかった」内野智章監督の後悔
幸い奈良クラブでは(興國OBの)國武が1年目からフル稼働しているので、良かったなと思います。高校の時からJ2やJ3のクラブがもう少しそういう部分を担えるようになれたらいいのかなと思っていましたけど、J2J3には昇格とか降格っていうものがあるので、なかなか難しいのかなと思う部分と、育成からトップまでの仕組みをちゃんと構築すれば、スペインのように10代で代表で10番を付けちゃうような、国のトップクラブのエースになるような選手が出てくるんじゃないかなと。 そういう育成の仕組みは、高校で頑張るってよりはJクラブで一本化した仕組みの中で、同じプレーモデルの中だったら、若くても出れるようになるんじゃないかと。多少の経験の無さも、フィジカルの無さも、そういう中だったらカバーできるんじゃないかと。そういう希望は持っていて、そういうひとつのモデルを奈良クラブで濱田さんと一緒に作れたらなと。色んな若い選手が奈良クラブを通ってJ1や海外に行くような仕組みを作れたらと、一番強く思っています。 高卒でJに行った教え子たちほぼ全員と今でも連絡をずっと取り合っていますし、だからこそ余計にそう思うんです。自分がJ2とかJ3の監督になれば、彼らを呼び寄せて、若い選手を集めて、戦えるチームを作るってことの方が育成にもなるし、若い選手たちに光を与えられるっていう部分もちょっとだけあるんですけど、自分がS級を取れるとは思っていなくて。レジェンドでもなんでもないんで。 だから今の自分にはSなんて取れないし、「誰がトップの監督として雇ってくれんねん」というのもあるんで、まずはユースの環境で、ユースを盛り上げることと、今は高卒Jに夢を持てない環境になりつつあるので、もう一回ユースや高卒のJリーガーが夢を持てる環境を作る。っていうと偉そうなんで、キッカケだけでも作れればと。そういうことをちょっとでも表現していきたいと思います。 今の僕のモチベーションは本当にそこです。若い可能性のある選手を、どうやってその可能性を潰すことなく、プロの世界や欧州に羽ばたいていくためにはどうしたらいいのか。今まではJに投げていたんですが、今は自分がJに来たので、ましてや社長が濱田さんなので、そういう環境を整えていくことができるのかなと思っています。 (文=会田健司)