【音羽山親方・春場所総括】新入幕優勝の尊富士は「自分が“勝負師”であることを意識している」 新大関・琴ノ若は「合格点」
霧島は準備期間が圧倒的に不足
――一方、大関・霧島関は、負傷の影響で負け越し(5勝10敗)となってしまいました。 音羽山:かつて、(陸奥部屋で)兄弟弟子だった霧島は気にかけている力士の1人ですが、今場所は頭から当たっていく相撲が取れなかった。彼は体が大きくないこともあって、頭から当たる相撲が身上ですが、春場所前から首に負傷を抱えていたんです。 春場所のために大阪入りしてから急ピッチで仕上げたのですが、やはり準備期間が圧倒的に足りなかった。これが負け越しの理由です。 ただ、師匠・陸奥親方が春場所を最後に定年退職すること(陸奥部屋は閉鎖)、春場所は1年に1回だけで、応援してくださるファンの方がたくさんいることもあって、負け越しても千秋楽まで土俵に上がり続けました。千秋楽は、ギリギリの相撲ながら、大関同士の対戦、琴ノ若に勝って、「次」につながったことはよかったと思います。
霧島も音羽山部屋の所属へ
――新しく興された音羽山部屋も、今場所で2場所目を迎えました。大阪市内でおこなわれた千秋楽打ち上げパーティーには、かつて所属した井筒部屋時代の兄弟子を始め、応援する方々が200人以上駆けつけて、盛り上がりを見せましたね! 音羽山:まだまだ小さな部屋なんですが、多くの人たちに来ていただき、ありがたいことです。4月からは、大関・霧島も音羽山部屋の所属になります。もうすぐ春巡業(3月31日~4月28日)も始まりますし、4月13日の大相撲藤沢場所(神奈川県)では、担当親方としてすでに仕事を開始しています。 実際に霧島らが部屋に合流するのはその後になりますが、今場所のようにフレッシュな話題で、大相撲界を盛り上げていきたいですね。
武田葉月 ノンフィクションライター。山形県山形市出身、清泉女子大学文学部卒業。出版社勤務を経て、現職へ。大相撲、アマチュア相撲、世界相撲など、おもに相撲の世界を中心に取材、執筆中。著書に、『横綱』『ドルジ 横綱朝青龍の素顔』(以上、講談社)、『インタビュー ザ・大関』『寺尾常史』『大相撲 想い出の名力士』(以上、双葉社)などがある。 デイリー新潮編集部
新潮社