第10回ふくしま産業賞 知事賞 陽と人[ひとびと](福島県国見町) 規格外の果実を活用
第10回ふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)では25の企業・団体が栄誉に輝いた。福島県産業をリードする優れた取り組みを紹介する。 収益の確保と社会課題の解決の両立を目指すゼブラ企業の一つだ。規格外のモモを首都圏の小売店に卸し、廃棄される柿の皮を使って女性用ケアオイルを開発、販売している。上手に活用されていない地域資源に目を向け、農業者の収益を増やそうと取り組む。 元大手シンクタンク社員の小林味愛社長(37)が2017(平成29)年、東日本大震災からの復興に向かう県民を後押ししようと国見町に移住して創業した。農家を回ってモモの栽培を手伝う中で、味が良いのに規格外として廃棄される果実の多さを目の当たりにし、活用しようと考えた。 桑折町の伊達果実農業協同組合などと連携しながらモモ農家20軒と契約し、規格外品の全量を買い取っている。累計150トン以上の食品ロス削減を実現した。
女性用ケアオイルは、全国の百貨店など200店舗以上で累計8万本以上売り上げる人気ぶりだ。ウェブマガジンなどで女性の悩みに応える情報の発信にも力を入れている。 在宅勤務やフレックスタイム制などを取り入れ、若者が活躍できる組織づくりに励む。小林社長は「働く人も住民も笑顔になれるよう、今後も地域に根付いた事業を展開する」と誓う。 ■メモ ▽設立=2017(平成29)年8月 ▽社長=小林味愛 ▽従業員数=25人 ▽住所=国見町塚野目字三本木11の1 ▽電話番号=080(3559)4725