JR四国「運転士不足」で減便へ! 経営危機「年収300万じゃ家族持てない」と若い運転士が次々と離職、四国の鉄道網は生き残れるのか
営業赤字116億円の現実
JR四国は2023年度決算で最終損益が35億円の黒字を記録したが、営業損益は116億円の赤字。 「国の支援」 など営業外利益の157億円がなければ立ち行かない厳しい状況に追い込まれている。2020年には国土交通省から経営改善を文書で求められ、再建の途上だ。 コロナ禍で落ち込んだ輸送人員はコロナ禍前の9割まで回復したが、国立社会保障・人口問題研究所によると、四国の人口は2020年の約370万人が2050年に約260万人(30%減)まで減ると推計されている。利用促進を進めても効果には限界が見える。 そこで、鉄道事業以外で増収を目指す一方、懸命に経費削減を進めている。古い駅舎をアルミ製の簡易駅舎に切り替えた数は、2023年度末までで徳島県徳島市の吉成駅など16に上る。無人駅は2023年度末で全体の 「85%」 に達した。交通系ICカードを利用できるのは香川県の一部だけ。運行維持に手いっぱいで、乗客サービスまで手が回らないのが実態だ。
給与抑制で若い運転士が相次いで離職
職員の給与も低く抑えられている――。 2024年4月入社の大卒初任給は21万1900円。関東や関西の大手私鉄と比べると、小田急電鉄の22万3700円、南海電鉄の22万2000円に1万円以上見劣りする。JR四国の本社がある香川県の企業と比較しても、タダノ(建設用クレーンメーカー)の事務系・技術系23万500円、百十四銀行のエリア総合職22万5000円より低い。 その結果、2024年度は155人の採用を予定していたのに、約8割の 「123人」 しか入社しなかった。旧国鉄時代に大量採用した職員が次々に定年退職しているほか、1987(昭和62)年の民営化後に採用を手控えた時期があり、40代後半から50代前半の職員が極端に少ない事情が運転士不足に拍車をかけている。定年退職者の雇用延長にいつまでも頼ることもできない。 さらに、コロナ禍が一段落して若い運転士の離職が目立ってきた。平均勤続年数は13.3年。駅員や車掌を経験してやっと運転士に育てた職員が退職している格好だ。20代の男性運転士は 「友人が何人か離職した。300万円台の年収では家族を持てない」 と不安げに語った。JR四国は2016年度、175人を採用する計画。年間休日日数の増加など処遇改善もできる範囲で進めているが、 「今後も厳しい採用環境が続くと考えている」 と苦しい胸の内を打ち明ける。