オルテガはなぜ「覆面パンツ姿」だったのか…ファミコン版『ドラクエ3』最大の“謎”をガチ考察!
■オルテガはどうやってアレフガルドに行ったのか?
第二の疑問として、そもそもなぜオルテガはアレフガルドにいたのだろうか。 主人公たちがアレフガルドに行くには、不死鳥ラーミアを復活させ、ギアガの大穴から落ちる必要がある。当然オルテガはラーミアを復活させてはいない。 そうなると空を飛んでいかないと到達できないギアガの大穴にどうやって到達したのか。 一つの仮説を立ててみる。主人公たちは基本的に4人パーティであったから比較的安全策をとった旅をすることを選択していたのだと思う。 たとえば、筋骨隆々な戦士1人であれば十分に泳いで渡れるような川や海であっても、僧侶や魔法使いはそこまでの体力はないため、4人揃って泳いで行くことはできない。となれば他の方法を模索するしかない。……といった形で様々な方法を考えた結果、主人公たちは「不死鳥ラーミアを復活させ、空からギアガの大穴に行く」という手段が最適であると判断したのだろう。 それに比べ、父・オルテガの冒険は一人旅だった。自分一人さえ泳いでいくことができるのであれば泳いで行っただろうし、岩山に囲まれていて普通の人であれば行くことができなかったネクロゴンドなどにも、岩山を乗り越えて辿り着いたに違いない。
■オルテガはなぜ覆面パンツ姿だったのか?
さて、オルテガがアレフガルドまで到達できた理由は、これである程度説明がつく。あとはファミコン時代に多くの子どもたちが疑問に思ったであろう、「なぜカンダタと同じ見た目だったのか」だ。冒険最終盤に勇者は、キングヒドラと戦う父の姿を見ることになるが、そのときに戦闘画面が流れる演出があり、その見た目がファミコンではカンダタと同じ「覆面パンツ姿」なのだ。 もちろんこれはファミコン時代の容量の節約という面があるが、この姿だった理由も、父の冒険の足跡を辿ることで見えてくるものがある。 ひとつの理由として、まず大魔王ゾーマのいる魔の島に渡る必要があったことである。本来であれば「にじのしずく」を使用して魔の島に渡るが、これは前述したように4人パーティで魔の島に渡るための安全策としての方法であり、岩山を自力で登ったり海や川を自力で泳いだりして進めるオルテガであれば、泳いで魔の島に渡るのは必然だ。 ただ、当然、重い鎧などをつけていては泳ぐこともできない。溺れないため、装備を捨ててパンツ姿になっていったのだと推察できるのではないだろうか。 パンツ姿だった理由はそれで良いとして、あとは覆面の謎である。 実は、ラダトーム城では「ひどいやけどをして おしろのそとに たおれていて…」というオルテガの手当をした女性のセリフを聞くことができる。そこから想像できるのは、やけどの治療にかなりの年月を要したが、けっきょく顔にかなりの跡が残ったのではないかということ。 そのため、オルテガは冒険を続けるにあたって村人などを驚かせないように、やけどの跡を覆面で隠したのかもしれない。 なお、ラダトーム城には盗賊カンダタが捕らえられているが、その姿は地上で出会ったときの覆面姿ではなかった。もしかすると、オルテガがラダトームを旅立ったのはわりと最近であり、カンダタの持っていた覆面を借りて、顔のやけどを隠すようアドバイスをされたのかもしれない。 実際、主人公のパーティはゾーマの城でオルテガに追いついているわけで、時系列的にオルテガが魔の島に向かったのはそれほど昔の話ではないと推察できる。 オルテガはゾーマの城でゾーマ配下のキングヒドラと戦い敗れ、主人公たちに対し「旅の人よ、もしアリアハンに行くことがあったら平和にできなかった父を許してくれと伝えてくれ」と口にして事切れている。涙なしには見ることのできない名シーンだが、ここまで来るのにパンツ一丁になり、覆面姿になった父には壮絶な物語があったのは言うまでもないだろう。 以上、オルテガが覆面パンツ姿だった理由について、多少強引ではあるが考察してみた。実際のところは、ファミコンでは専用グラフィックを用意するだけの容量がなかったのが要因だろうが、少ない情報をかき集めてオルテガが辿った旅路を妄想するのは楽しい。HD-2D版『ドラゴンクエストIII』では、どのようなオルテガの新情報が判明するのかも期待したい。
ふたまん+編集部