頭の中で突然の爆発音が! 眠りを妨げる謎の現象「頭内爆発音症候群」とは、原因不明
相談できずに悩む人も、害はあるのか、注意すべきケースは?
ミュージシャンでギター職人のデイブ・ロボス氏は、大きな音には慣れっこだったが、ある夜、頭の中で突然大きな爆発音がした時には少し不安を覚えたという。まさに眠りに落ちようとした瞬間のことだった。あまりに激しい音に、目が覚めてしまった。 【動画】本当に眠りながら食べまくる女性たち、謎の病 「頭の中の頭頂部あたりで、非常に鋭い音がしました」。それと一緒に、車が衝突する映像が一瞬目の前をよぎった。「2つが同時に起こった感じでした」 ロボス氏が体験したのは、「頭内爆発音症候群(EHS)」と呼ばれる謎の多い現象で、「睡眠時随伴症」の一つだ。睡眠時随伴症には、睡眠時遊行症(夢遊病)、寝言、睡眠麻痺(金縛り)、そしてミオクローヌスと呼ばれる筋肉の瞬間的な痙攣(けいれん)などがあるが、身体への危険や痛みが伴わない限り、ほとんどの場合、害はない。 EHSを研究している数少ない睡眠の専門家の一人で、認定臨床心理学者のブライアン・シャープレス氏も、気にならなければEHSは無害だと話す。「痛みが伴わない限り、心配する必要はありません」
打ち明けられない人が多い
EHSを経験しても、医師や家族にさえ相談する人はごくわずかだと、シャープレス氏は言う。 2017年4月6日付で医学誌「Cephalalgia」に発表された論文によると、研究の対象となったEHSの経験がある人のうち、専門家に相談したことがある人はわずか11%で、繰り返し経験した人でも8%しか対策を取ろうとしなかったという。「頭の中で音がする」ことを恥ずかしいと思う人もいて、継続した害や痛みがないとわかるとそのままにする人が多い。 米メリーランド州フレデリックにあるフレデリック・ヘルス・メディカル・グループの睡眠医学専門医で、メリーランド州睡眠学会の理事を務めるジェニファー・マクドナルド・スロウィク氏も、治療を求めようとする人は少ないと話す。
なぜ、どんなときに起こる?
EHSの経験は、睡眠クリニックを受診した患者に詳しい睡眠検査を行う中で明らかになることが多い。「ナルコレプシーに関する質問をしていてわかることがあります」。ナルコレプシーは日中急な眠気に襲われる病気で、幻聴を伴うことがある。 「少しでも深刻な疾患が疑われれば、睡眠検査の一環として追加の検査を行い、何でもないことを確認します」 スロウィク氏と同じくシャープレス氏も、頭に関しては慎重になるに越したことはないと警告する。最悪の場合、痛みを伴うEHSは、危険度が高く死に至ることもあるくも膜下出血の兆候かもしれないのだ。 わずか一瞬の出来事であるEHSに関してまず誤解されやすいのは、そのタイミングだ。眠っているときに音で目覚めるわけではなく、睡眠に入る直前のわずかな時間に起こる。 シャープレス氏によると、今のところ脳波検査を含めて、睡眠中のEHS活動を特定した研究はない。むしろEHSは、覚醒時の聴覚、視覚、運動に関連する領域を脳がシャットダウンしようとするときに起こる神経細胞の誤作動の一種であると考えられている。 「ひどくリラックスした状態、と言うことができます。EHSは、そのようなときに起こるようです」 また、これもよくある誤解だが、EHSは耳鳴りではない。