<なにわ点描>歩道橋だった「心斎橋」も登場 ── 映画「ブラック・レイン」ロケ地めぐり
再々利用されている心斎橋の石造りの欄干とガス灯。ブラック・レインにも登場している=大阪市中央区で
大阪市中央区心斎橋。大阪を代表する繁華街のひとつで、昭和初期には東京・銀座の「銀ぶら」にちなんで、心斎橋をぶらぶらすることを「心ぶら」と呼ばれたりもしていたという。そんな心斎橋も映画「ブラック・レイン」に登場。ただ、それは地名ではなく、ほんまもんの「橋」として登場している。 ■長堀通にはかつて長堀川が流れていた 橋ってなに? と思われる人も多いかもしれないが、大阪市の資料などによると、かつては心斎橋という橋が存在した。地下街「クリスタ長堀」などがある長堀通には、長堀川という川が流れていたという。 その川が1964年(昭和39年)に埋め立てられ橋は撤去されたが、当時使われていた石造りの欄干やガス灯などを再利用して横断歩道橋として復活。そして、1989年公開の同作品のロケ地として、その橋が使われたわけだ。 ■K・キャプショー唯一の来日ロケ現場 同作品では、悲しみにくれるマイケル・ダグラス演じるニック刑事を、ケイト・キャプショー演じるグラブ・ミヤコのホステスのジョイスがなぐさめ、それを遠くから故・高倉健さん演じる大阪府警の松本警部補が見守るシーンで、この歩道橋だった心斎橋が使われた。いまやスティーブン・スピルバーグ夫人としても知られるK・キャプショーだが、来日して撮影したシーンはここだけだったという。 作品を見ていると、スモークがたかれたり蛍光灯が並ぶなど、自分たちが目の当たりにしていた心斎橋とは違った光景が見られる。だが、今はなき「ソニータワー」や商店街のアーケードからその場所と分かる。 登場した心斎橋は、地下鉄長堀鶴見緑地線の工事とともに撤去。1997年のクリスタ長堀完成後は、石造りの橋の一部とガス灯が復元されて現在の形になる。いわばこれは、再々利用ということになる。ひょっとしたら、いま使われている欄干は、M・ダグラスが寄りかかっていたものなのかもしれない?