<掛布が語る>4連敗した阪神の逆襲カードは西岡と鳥谷
阪神は9月9日、甲子園での首位、巨人との3連戦の緒戦を2-8の大差で落とした。中日戦から数えて4連敗。厳しい書き方だが、序盤に大量失点して、早々と戦意を喪失してしまったような形の野球は、甲子園を満員にしてくれたファンに対して見せてはならない野球だったと思う。 昨シーズンも阪神は終盤に失速して、クライマックスシリーズでも3位の広島に苦杯をなめた。和田監督は「チームに1年を戦うスタミナがなかった」という今季への課題を口にした。その言葉がずっと心にひっかかっていたが、また「勝負の9月」に入ってチームは失速してしまった。実は、どう1年間のペナントレースを戦うか?というベンチの中長期ビジョンとマネジメントが終盤戦のチーム状況に影響を与える。7月27日にメッセンジャーがマツダスタジアムの広島戦で中4日登板して失敗したが、私は「まだその時期ではない。早い!」という意見をコラムに書いた。その影響が、この日の巨人戦に出たなどという暴論を語る気はないが、ベンチがペナントレースの終盤、すなわち「勝負の9月」に照準を置いた長期的なマネジメントをしてきたかどうかについて多少の疑念が残った。 もう巨人とは、5.5差がついた以上、ここからは一瞬、一瞬の全力野球を心がけ、その気持ちと結果を継続していくしかないだろう。投手なら、その1球、打者なら、その1打席に集中して結果を残し、その継続を今日の勝利、明日の勝利へとつなげていく野球しかない。 逆襲のカードのひとつは、2軍で調整中の西岡剛だと思う。今の阪神には負けが込んだときに雰囲気を変えることのできるムードメーカーが必要だと思う。故障の新井良太が1軍ベンチからいなくなって明るさが消えてしまったように映る。西岡は2軍でも、まだDH出場の段階だが、今こそ西岡の存在がクローズアップされるべきである。そのためには、ベンチも西岡の気持ちが前に向くような居場所を1軍に用意しておく必要があるだろう。負けを取り返すために必要なのはベテランのエネルギーである。