アジアの歌姫「テレサ・テン」が5年間来日できず…“日本の父”が語った「パスポート事件」の真相
パスポート事件で日本を離れ“成長”した
――事件から1年後には条件付きで台湾帰国を許された彼女だったが、再来日を果たすまでには、5年の歳月を経ねばならなかった。 「ポリドールとの契約は切れていましたが、そこから分かれた会社に私が在籍しており、再契約をすることができた。日本からの国外退去処分の期間は1年でしたが、時間がかかってしまいましたね」(同) その後に発表した「つぐない」「愛人」は150万枚を売り上げ、復帰三部作の掉尾を飾る「時の流れに身をまかせ」は200万枚の大ヒットを記録した。 「昭和49年にリリースした『空港』以降、彼女は取り立てて言うほどのヒットに恵まれていなかった。いわば1.5流だったテレサが、30歳を迎えてからの活動で確固たる地位を築いた。パスポート事件で日本を離れて、“成長”することがなかったら、代表曲は誕生していなかったかもしれません」 女の幸・不幸を歌い上げたテレサは、その両者が隣り合わせにあることを、身をもって知っていたひとりなのである。
デイリー新潮編集部
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