『ライオン・キング』の実写を超えたリアリティ アニメ版をアップデートした楽曲も必聴
名作アニメーション版をアップデートした音楽
リメイク元となっている1994年のアニメーション映画『ライオン・キング』はミュージカル映画であり、音楽は作品の重要な要素となっていた。ハンス・ジマーのスコアを中心に、エルトン・ジョンが主題歌「サークル・オブ・ライフ」や「愛を感じて」などを提供し、後者はアカデミー賞歌曲賞も獲得している。 超実写版ではプロデューサーにファレル・ウィリアムスを迎え、アニメーション版の名曲の魅力はそのままに、よりアフリカ音楽の要素を多く取り入れたものに進化。物語の舞台となるアフリカに敬意を払ったものとなっている。シンバ役ドナルド・グローヴァーとナラ役ビヨンセの「愛を感じて」は、まさに新たな世代の“ライオン・キング”に相応しい。またエルトン・ジョンは、“超実写版”に新曲として「ネバー・トゥー・レイト」と、ビヨンセが歌い上げる「Spirit」を書き下ろした。「Spirit」は第62回グラミー賞で「最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス」と「最優秀楽曲賞」にノミネートされたことも記憶に新しい。 さらにミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァが歌うゴキゲンなナンバー「ハクナ・マタタ」も、その魅力は健在だ。原語版ではビリー・アイクナーとセス・ローゲン、吹替版ではお笑いコンビ「ミキ」の亜生と俳優の佐藤二朗がそれぞれコミカルな魅力を発揮している。 偉大な王ムファサを父に持ちながら、スカーの策略によって父の死に責任を感じ、プライドランドを後にしたシンバ。ティモンやプンバァとともにジャングルで楽しく暮らしていた彼だったが、再会したナラから故郷の惨状を知らされ、王として帰還することを決意。スカーと対決し、プライドランドに平穏を取り戻そうと奮闘する。 父から子に受け継がれる「サークル・オブ・ライフ」を描く名作『ライオン・キング』は、最新のCG技術によってさらに迫力のあるものに仕上がった。シンバの成長物語を彩る美しい映像と心揺さぶる音楽が本作の大きな魅力だ。現在公開中の『ライオン・キング:ムファサ』と合わせて楽しむのも一興だろう。“超実写”の魅力を存分に体験してほしい。
瀧川かおり