二宮和也“天城”、竹内涼真“世良”に思いを託す「お前はいい医者だよ」<ブラックペアン・最終回>
二宮和也が主演を務める日曜劇場「ブラックペアン シーズン2」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)の最終話となる第10話「いい医者とは…」が、9月15日に放送された。最終話では、封印されてきた全ての真実、破られたブラックペアンの約束の意味が明かされる。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】天城(二宮和也)の墓に花を手向ける世良(竹内涼真) ■シーズン1のなじみのメンバーが再び集結 同作は、2018年4月期に二宮主演で放送された日曜劇場「ブラックペアン」の続編。海堂尊の小説「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」(講談社文庫)を原作に、シーズン1から6年後の物語が描かれている。 同作で二宮が演じるのは、6年前に東城大学医学部付属病院を去った外科医・渡海征司郎と瓜二つの謎の男・天城雪彦。また、シーズン1に出演していたメンバー、外科医・世良雅志役の竹内涼真、看護師・花房美和役の葵わかな、看護師・猫田麻里役の趣里、外科医・高階権太役の小泉孝太郎、病院長・佐伯清剛役の内野聖陽らも続投。 また、シーズン2からの新キャラクターとして、韓国人研修医パク・ミンジェ役で日本ドラマ初出演となる韓国の若手俳優キム・ムジュンが、維新大学心臓外科教授・菅井達夫役で段田安則、治験コーディネーター・椎野美咲役に田中みな実が出演している。 ■徳永の手術で見えた、過去のオペ失敗 国際心臓外科学会で、天城(二宮和也)が公開手術を行うが、内胸動脈の剥離にかかったところで患者・徳永(井上肇)の体温が上昇し、悪性高熱症を発症。バイパス手術中に人工心肺を使うという危険性の高い処置で、なんとか体温が下がったが、天城はあることに気づいた。徳永のバイパスを作るための冠動脈3本が全て切離されていたのだった。 桜宮市医師会会長の真行寺(石坂浩二)はオペの中止を命じるが、佐伯(内野聖陽)がオペ室に入ってきて、オペの続行を命じる。元々は真行寺と佐伯の関係性は良好だったが、今は反目し合う関係になっており、天城はそのことも含めて、8年前の徳永のオペが全ての原因だったのではないかと考えた。 徳永の冠動脈の切離は、ダイレクト・アナストモーシスを行い、それが失敗したことを証明している。それを行ったのが佐伯で、この失敗を隠蔽したことで真行寺との関係性が悪くなったのではないか、と。 天城と佐伯の間に険悪な空気が流れるが、佐伯はまず患者を助けるのが優先と伝え、「手を組まんか」と持ちかけた。 ■佐伯「新病院は初めからお前のためにあった」 天城がオペを再開する前に、佐伯は「司先生も私も、ダイレクト・アナストモーシスをなんとしても完成させたかった。なぜだか分かるか? お前の心臓はダイレクト・アナストモーシスでしか治せないからだ。だから私は決めたんだ、新病院を作ることを」と、新病院を作る本当の目的を明かした。 新病院を作り、天城をセンター長にして世界中から有能な外科医が集まれば、必ず後に続く者が現れる。それによって、天城をダイレクト・アナストモーシスで治すことができるのではないかと考えたという。そして「新病院は初めからお前のためにあった」と伝えて、佐伯はオペ室を退出した。 ■ダイレクト・アナストモーシスが生まれた背景 佐伯は学会の会場に戻り、徳永のオペはこれまでに例のない3箇所同時のダイレクト・アナストモーシスで行われることを説明。そして、最初にダイレクト・アナストモーシスについての論文を書いたのが真行寺であること。しかし真行寺は現実味がないと考え、実際に行うことには反対だったということも伝えた。 そんな想像の中だけの術式“ダイレクト・アナストモーシス”を現実のものにした医師、それが天城雪彦。彼によって神にしかなし得ないと思っていた奇跡が現実のものになった。 佐伯がオペ室に戻り、天城と共に徳永のオペを行った。その時、「お前は思い違いをしている。8年前のあのオペを始めたのは司先生だ。私は最後にオペを引き取っただけなんだよ」と言い、封印されていた真実を明かした。 司をはじめ禁断の術式に挑んできたが誰一人成功させることはできなかった。佐伯は「お前一人だけが授かった力なんだ。天城、やれ!」と命じ、天城は多くの困難を乗り越え徳永のオペを成功。オペを称えた真行寺に、天城は「ひとつ聞いてもよろしいですか? ブラックペアンの約束とは?」と尋ねる。 真行寺は、ブラックペアンを作ったのは天城の父・司だったと明かした。「(オペでの失敗を)佐伯が悩んでいるのを見て、レントゲンには映らないカーボン製のペアンを開発した。みんな結束していい仲間だった。私も、徳永くんも含めて。だが8年前、徳永くんの心臓が病気になって、司くんが私との約束を反故にして封印していたダイレクト・アナストモーシスをやったんだ」と話し、「仲間だったから無理をしたのかもしれないね。その無理がクセモノなんだよ」と悔やんだ表情を見せた。 ■天城「ジュノは僕のことを世界で唯一の医者だと言ったが、それは君も同じだ」 病院長選挙は江尻(大黒摩季)が勝利し、佐伯は敗北した。それによって新病院のセンター長は高階(小泉孝太郎)が就くことになった。そして天城は「今までありがとうございました」と佐伯に言って、東城大を出ていった。 世良は地方の系列大に異動願いを出して東城大を去ったが、一年後、花房(葵わかな)がオーストラリアからの天城の手紙を届けにやってきた。「いつまでウジウジしてるんですか」という花房の言葉に背中を押され、天城に会いにオーストラリアへ。しかし、そこにはもう天城はいなかった。 天城が亡くなったことを知らされ、遺された手紙を受け取った世良。「突然僕がいなくなったことで、君はさぞかしスネているだろう」という書き出しの手紙には「ジュノは僕のことを世界で唯一の医者だと言ったが、それは君も同じだ。ジュノにはジュノの才能がある。まっすぐで諦めの悪いジュノにしか治せない患者が世界のどこかに現れる。その患者のためにこれからも医者としてのプライドを世界に見せつけてやれ」というメッセージが託されていた。 「ジュノは僕と渡海征四郎という二人の悪魔に愛された世界で唯一の医者なのだから。ジュノ、お前はいい医者だよ」と、世良の医者としての才能を認めていたことも綴られていた。 天城の思い、意志は世良に引き継がれていくのだろう。そして、ラストには渡海(二宮和也・2役)が猫田(趣里)から東城大の名前が入った白衣を渡される様子が映し出された。シーズン2はこれで幕が下ろされたが、シーズン3があるのではないかという期待も膨らんでいる。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部