バルサ移籍報道の安部裕葵に鹿島サポから万感コール!
安部が長く待ち焦がれ、内田が予想していたヨーロッパ挑戦のチャンスが、図らずもプロになって3年目の夏に訪れた。バルセロナからのオファーには、2年間はラ・リーガ2部B(3部相当)に所属するBチームでのプレーすることが含まれている。 25万ユーロ(約3100万円)の年俸を含めて、コパ・アメリカをともに戦ったMF久保建英(18)に提示された条件と同じだ。特にBチームで2年間プレーする点に難色を示した久保は、バルセロナの宿命のライバル、レアル・マドリードへ完全移籍して世界中を驚かせた。 オファーが届いたのは先月末とされる。久保を逃したバルセロナが、他の若手日本人選手にも興味を示しているとも報じられたこともある。しかし、安部はすべての状況を受け入れたうえで、スペインの地へ旅立つ意思をすでに固めているようだ。 ジュビロ戦後に取材に応じた鈴木強化部長は、苦笑いしながら「いまは言えることはないです」を二度繰り返した後に、こんな言葉を紡いでいる。 「もう少しいろいろ頑張ります」 鈴木強化部長が言及した「頑張ります」とは、要は安部を慰留していることを意味する。Jリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞した昨シーズンから一転して、望んで背負った「10番」がプレッシャーになっているからか、今シーズンの安部はプレーに精彩を欠く試合が続いている。 リーグ戦の先発は、4月28日の横浜F・マリノス戦を最後に遠ざかっている。ただ、連覇を目指すACL、準々決勝からの登場となるYBCルヴァンカップ、3回戦に進んだ天皇杯、そして暫定4位に浮上したリーグ戦とすべてのタイトル獲得への可能性を残している状況で、稀有な攻撃センスをもつ安部の流出は食い止めたいのが偽らざる本音と言っていい。 安部自身もジーコやビスマルク、柴崎岳(現ヘタフェCF)らが背負った「10番」の継承者として、まだ確固たる足跡を残していないこともわかっているのだろう。バルセロナからのオファーをどうとらえるか、と問われた安部は「今日は答えられない」と慎重に言葉を紡いでいる。 「僕一人のことではない。鹿島と僕と、そして相手チームがあることなので、そこは鹿島と僕の代理人に任せています。それが形になれば、しっかりとお話させていただこうと思っています」 バルセロナは現地時間14日に、新シーズンへ向けて始動する。最終的な決断へ、残された時間は多くない。世界中から金の卵が集まるバルセロナのBチームから、弱肉強食の世界を勝ち抜いていく自分自身の姿を思い描きながら、安部はアントラーズと代理人の話し合いの推移を静かに見守っている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)