「ウェルビーイングの聖地」「人生に変化をもたらす」海外の人が考える日本の真の良さとは?
経産省のクールジャパン政策課と戦略デザインファームBIOTOPEが協働で実施したリサーチ「海外都市から見た日本ブランドの今と今後の可能性」が今年5月に発表され、話題となっている。海外在住者の視点から、日本ブランドの価値を体系的に示した画期的なレポートだ。 【画像】「ウェルビーイングの聖地」「人生に変化をもたらす」海外の人が考える日本の真の良さとは? リサーチを主導した株式会社BIOTOPE代表の佐宗邦威は、「インバウンド増加は円安だけが理由ではなく、日本文化に対する深い理解が後押しとなっている」と語る 日本文化は海外でどのように受け入れられているのか? 日本を好きになる人はどのようなプロセスを経ているのか? そして、日本人は自分たちの国をどう捉え直すべきなのか──佐宗に話を聞いた。
海外での気づきがきっかけに
──日本文化が海外でどのように受容されているのか、大々的な定性調査をした経緯について教えてください。 個人的なことですが、2023年の6月に世界一周旅行に行きました。旅中でニューヨークとかロンドン、パリを訪れた際に「日本文化、なんだかきているな」と感じたんです。 そして現地在住の日本人と話してみると、「これからもっとくるよ」と。その一言が自分のなかでは新鮮でした。そして、海外では日本の個々のコンテンツが流行っているというより、日本が有する精神性や思想の根幹に共感が生じていると感じました。 日本では国家レベルでクールジャパンを推進していますが、国内だけでクールジャパンとは何かを考えると、どうしても目線がずれやすくなります。 そこで、クールジャパン政策課と共に海外の視点を含むリサーチをすることになりました。 ──都市の選定についてはどのように決めたのですか? いま日本のインバウンド客の7割ほどは台湾、韓国、中国です。ですが彼らの多くは2泊3日ほどの旅行で帰っていく人たちが多い。 一方で、私が長野県白馬村のビジョンアドバイザーをしていたときに感じたのは、オーストラリア人の観光客がメインで、彼らのなかには2週間から1ヵ月ぐらい滞在する人もいます。観光地の目線からすると、彼らは長期間滞在するし、現地での人間関係も大事にする。さらにお金を落としていくので、客単価が大きく上がります。 日本ではいま、オーバーツーリズムが問題になっています。受け入れ側のキャパシティには限度があるわけですから、今後、彼らのようなモダン・ラグジュアリー層に来てもらいたいと考える観光業の方々は増えると考えました。 クラシック・ラグジュアリーは、いわばこれまでの富裕層を指します。免税店でブランド品を大量に購入するような層である一方で、欧米の観光客に多いモダン・ラグジュアリー層は、1ヵ所に長期間滞在する傾向にあります。年齢層も30~40代と比較的若い世代が多い。クラシック・ラグジュアリーに比べて環境意識が高く、日本文化に興味がある人も多い。日本の観光とも相性の良い層だと思います。 このようなモダン・ラグジュアリー層が主にどこにいるのか。JNTO(日本政府観光局)のリサーチをみると、米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリアあたりの国々が並んだので、これらの地域を中心にリサーチをしたわけです。