長期金利の上昇 なぜ金利が上がるの? 金利が上がると私たちの生活はどうなるの?
日本では長期金利がじわじわと上昇しています。なぜ金利が上昇しているのか、また金利が上昇すると私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。 今回は、日本の長期金利について分かりやすく解説します。 ※この記事は2023年10月31日時点の情報を基に執筆しています。
最近の長期金利の変動は?
2023年7月下旬あたりから、日本の長期金利が上昇しています。これは日本銀行が金利操作の運用を柔軟化したことで、今まで低水準で抑え込まれていた長期金利が変動してきているためです。 2023年8月3日で長期金利は0.655%、8月23日で0.675%、9月21日には0.745%となりました。そして、日本銀行が金利操作を再修正し、長期金利について1%をめどに一定程度の上昇を容認した10月31日には、一時0.955%と2013年5月以来、約10年5ヶ月ぶりの高水準となっています。
金利が上がるとどうなるの?
金利が上昇すると、私たちの生活にはどのような影響がでるのでしょうか。以下でチェックしていきましょう。 1.住宅ローンの金利が上がる 日本の長期金利が上昇すると、住宅ローンの金利も上がる傾向が見られます。住宅ローンの金利が上がると、返済するトータルの金額が増えることになります。 一般的に住宅ローンは、固定金利(金利が固定されているもの)と、変動金利(一定期間ごとに金利が変動するもの)がありますが、特に変動金利では注意が必要です。場合によっては返済計画の見直しが必要となるケースもあるでしょう。 また、これから住宅ローンを組もうと考えている人も、固定金利にするか、変動金利にするかを慎重に選ぶ必要があります。今後もさらに金利が上昇すると考える場合、固定金利にした方が総返済額を減らすことができるかもしれません。 2.個人向け国債などの債券の利回りが上がる、株価が下がる 現在、債券や株で資産運用を行っている場合にも影響があります。一般的に金利が上昇すると、債券の利回りが上がる一方で、株価は下がる傾向が見られます。 企業も金利が上昇するとお金が借りにくくなるため、設備投資を控えたり、借入金の利息の支払いが増え、利益が減少する可能性も出てきます。 3.物価が下がる 金利が上昇すると一般的にはお金を借りにくくなるので、消費者の購買意欲が下がります。そして、モノやサービスへの需要が減り、供給の方が多くなることで、物価は下がる傾向があると言われています。 ただし、日本では現在、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響を受けて物価は上昇傾向となっています。金利上昇の影響を受けて、この物価高がすぐに収まるとは考えにくいですが、今後、長期金利の上昇が物価にも影響を与えるかもしれません。 このように長期金利の上昇は、私たちの生活や日本企業の経済活動に関係しています。日本銀行による今後の政策や経済状況の動向次第では、さらに金利が上がることも想定されるため、その動きに注目していく必要があります。
まとめ
金利の上昇について新聞やニュースで目にしても、具体的に自分にどのような関わりがあるのか、ピンとこない人も多いかもしれません。しかし、長期金利の変動は住宅ローンや企業の経営など、私たちの生活にも大きな影響を与えます。 金利の変動に関する報道には今後もアンテナを張り、日本の経済状況がどのように変化していくのか注視してみてください。 執筆者:下中英恵 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
ファイナンシャルフィールド編集部