楳図かずおさん、天国へ 「漂流教室」「まことちゃん」恐怖と笑い、赤白シャツの天才漫画家 「グワシ」ポーズは社会現象に
作風について「子供たちの話が自分に一番合っていると思い、ホラーなどで少年少女を描いてきた」と話していた楳図さん。東日本大震災後の2013年には恐怖について「恐怖を感じる受け皿がない人が増えている気がする。恐怖を感じることが自然と人工物の調和につながり、人間にとって大切だという思いは変わらない」と主張した。
自宅のある東京・吉祥寺ではのんびり散歩をする姿でも愛されたが、深い人間愛と創作意欲に支えられた生涯だった。
★「まことちゃんハウス」撮影するファンも
訃報が報じられた5日、東京・吉祥寺の自宅で外壁が赤と白のしま模様の通称「まことちゃんハウス」にはファンが訪れ、屋根に設置された「まことちゃん」の人形を撮影する姿などがみられた。2009年に外壁と景観をめぐり訴訟になったが、東京地裁は請求を棄却していた。楳図さんのモットーのひとつは不眠症に悩まされた経験などから「欲は捨ててなるようになればいい」。地元のカフェで楳図さんと何度も遭遇した男性は「コロナ禍の前までは夏はボーダーシャツ、冬は赤のニット帽姿で新聞を読んでいた。地元ではいつもおなじみの姿で、楳図さんもリラックスしていた」と話していた。
★中川翔子は感謝「翔子」は「漂流教室」から
楳図漫画の大ファンとして知られるタレント、中川翔子(39)はXを更新し「あの日 またね!と声をかけてくださったから私はあの時仕事をやめなかった 翔子という名前の文字も大好きな漂流教室の翔ちゃんからいただきました わたしの人生は楳図かずお先生のおかげで今があります」と感謝。2014年の映画「マザー」で楳図さん役を演じた歌舞伎俳優、片岡愛之助(52)はブログで「また、一緒にグワシしたかったです」としのんだ。
■楳図 かずお(うめず・かずお)
1936(昭和11)年9月3日生まれ、和歌山県出身。55年に「森の兄妹」でプロデビュー。66年に漫画誌「少女フレンド」に連載した「ねこ目の少女」で恐怖漫画の第一人者に。75年に「漂流教室」のほか一連の作品で小学館漫画賞を受賞。76年の郷ひろみ(69)の楽曲「寒い夜明け」など作詞も手掛けた。代表作は「まことちゃん」「おろち」「14歳」など多数。2014年に映画「マザー」で監督デビュー。18年に「わたしは真悟」で仏アングレーム国際漫画祭遺産賞、23年に手塚治虫文化賞特別賞を受賞した。