楳図かずおさん、天国へ 「漂流教室」「まことちゃん」恐怖と笑い、赤白シャツの天才漫画家 「グワシ」ポーズは社会現象に
「漂流教室」や「まことちゃん」などの名作で知られる漫画家、楳図かずお（うめず・かずお、本名一雄＝かずお）さんが10月28日、東京都内で死去した。88歳。葬儀は関係者で済ませた。人間の本質に迫るホラーやギャグ漫画で新たな世界観を切り開く一方、赤と白のボーダーシャツ姿でお茶の間でも人気者に。中指と小指を折り曲げる「グワシ」のポーズは子供を中心に社会現象となった。晩年は胃がんを患っていたといい、施設で療養中だった。 ホラーやギャク、SFなど多彩なジャンルで異端の才能を発揮し、ポップな雰囲気と優しい人柄でも愛された楳図さんが静かに旅立っていた。 「漂流教室」「まことちゃん」などを出版する小学館は5日、訃報を発表。昨年は27年ぶりの新作「ZOKU-SHINGO」で「第27回手塚治虫文化賞」の特別賞を受賞し、同年6月の贈呈式で元気な姿を見せていたが、晩年は胃がんを患っていたといい、施設で療養中だった。 楳図さんの財団法人、UMEZZは小学館を通じてコメントを発表。「楳図は自分の作品が世界中の人々に届いてほしい、永遠に読み継がれてほしいと願っていました。また作品の芸術的価値を信じておりました」などとしのんだ。 楳図さんは小学4年で漫画を描き始めて高校時代にデビュー。「今までにない新しいもの。それが創作」が信念で1960年代に未開拓のホラー漫画に挑戦した。「へび少女」「おろち」などでホラー漫画の第一人者の地位を確立。72年に「漂流教室」の連載がスタート。荒廃した未来に学校ごとタイムスリップした小学生たちが、飢えや病気など困難に立ち向かう物語で人気を集めた。 76年からは「まことちゃん」を連載。幼稚園児の沢田まことのとっぴなギャグが受け、中指と小指を折り曲げる「グワシ」のポーズは子供を中心に社会現象に。「サバラ」「…なのら」などのギャクも流行し、2018年には欧州最大規模の漫画祭「第45回アングレーム国際漫画祭」で「遺産賞」を受賞するなど世界でも評価を受けた。 1990年代後半はけんしょう炎などを理由にタレント活動も展開。海賊が憧れとの理由でボーダー柄がお気に入りで、テレビでは赤と白のボーダーシャツ姿と明るいキャラで人気を博した。
