鳥インフル発生、最多ペース 鶏卵価格上昇に拍車も
農場での高病原性鳥インフルエンザが多発している。今季は、千葉県や鹿児島県など養鶏主産地を含む8道県で10事例が発生。過去最多の発生となった2022年シーズンに匹敵するペースとなっている。最需要期を控える鶏卵は不足感が広がり、多発が続けば、価格の上昇に拍車がかかるとの見方が強まる。 今季、同病の農場での発生は過去最も早い10月17日。その後も発生が続き、これまでに約121万8000羽が殺処分の対象となった。22年シーズンは同時期(11月20日時点)で10道県13事例発生し、殺処分対象羽数は約272万羽に上った。 農水省は21日、各県担当者ら約500人を集めた緊急会議を開催。大規模農場や過去に同病が発生した地域や農場に対し、飼養衛生管理の再点検を呼びかけるよう要請した。農業関係者以外の人が入場する機会を減らすため「不要不急の工事の延期」も検討することも求めた。 江藤拓農相は、多発が続けば「卵の需給や価格、国民の食卓に大変な影響を及ぼす」とし、防疫の再徹底を訴えた。 22年シーズンは殺処分対象羽数が約1771万羽に上り、鶏卵の供給減、価格上昇の一因となった。今季、鶏卵は猛暑による生産減や需給調整で供給量が抑えられたことで、既に高値にある。建値となるJA全農たまごのM級基準値(東京)は11月(21日時点)が1キロ280円となり、過去5年平均比で26%高い。「市場では不足感が出ている。(同病の)発生が増えれば価格は1キロ300円超えもあり得る」(西日本の流通業者)という声もある。
日本農業新聞