生成AIによるコンテスト受賞作の著作権却下に異議。「創造的インプットは著作権保護が可能」
9月26日、アーティストのジェイソン・M・アレンが、画像生成AIを用いた作品の著作権申請を却下した米国著作権局の決定を不服として、コロラド州の連邦裁判所に提訴した。 アレンが自らの創造性を表したものとして著作権を求めているのは、近未来的な王宮が描かれた《Théâtre d’Opéra Spatial(スペース・オペラ・シアター)》。2022年にコロラド州で開催されたアートコンテストのデジタル加工写真部門で1位を受賞したこの作品について、アレンは著作権登録を申請していた。 アレンは声明で、著作権局の決定に対する不満をこう述べている。 「(著作権申請が却下されたことで)私の作品が大っぴらに盗用されたことが何度もありますが、それに対抗する手だてが何もないために散々な状況に陥っています」 作品制作に用いられたのは、画像生成AIのミッドジャーニー(Midjourney)だ。アレンは、AIが生成した画像パーツを基に、数百ものプロンプト(指示文)で調整を加えて全体を作成。アドビのフォトショップなどで仕上げを行い、出力して作品を完成させた。 しかし、ミッドジャーニーが生成した部分の権利放棄をアレンが拒否したため、著作権局は昨年、申請を却下。著作権で保護されるには、AIが生成した部分が多すぎると判断された。 一方、著作権局の決定を覆すよう求めた連邦裁判所への訴状では、次のように主張されている。 「アレン氏には、頭の中で思い描いた具体的なアイデアがあり、そのアイデアを芸術的に表現するためのツールとしてミッドジャーニーを使用した。こうした創造的なインプットは、ほかの手法を使うアーティストが表現するものと同等であり、著作権による保護が可能だ」 AIを使用するアーティストからの著作権申請が却下された例は、これまでにもある。たとえば、コンピュータ科学者のスティーブン・ターラーは、自らが開発したAIシステムによる生成画像の著作権申請を2018年と2022年の2回、却下されている。
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