“別人”と思えるほどの成長

　スカウト陣は、放送席の後ろにある通路に集結して、今朝丸のピッチングに見入っていた。 「立ち上がりは、少し慎重に入っているのかなと思いましたが、指にかかった時のボールは素晴らしかったですね。昨年とは“別人”と言ってもいいくらい成長したと思いますし、これから体が大きくなって、スピードも出るようになるでしょう」（セ・リーグ球団スカウト） 「（今朝丸が）良くなっているというのは聞いていましたが、順調に成長していますね。体つきも腕の振りもピッチャーらしいピッチャーです。変化球でも腕の振りがほとんど変わらないですし、コントロールが良い。あとは体力面がついてくれば、もっと良くなると思います」（パ・リーグ球団スカウト） 　昨年の選抜時点は、今大会ほど力強さがなかった。前出のセ・リーグ球団スカウトのコメントにもあるように“別人”と思えるほどの成長を見せたことは間違いないだろう。この冬の間に体重は増えて80kg（選抜の選手登録時点では77kg）まで増えたというが、187cmという長身であるため、体つきは高校生らしく見える。逆に言えば、“成長の余地”が大きく残されている。 　スカウト陣は、今朝丸の“伸びしろ”に大きな魅力を感じている。今秋のドラフトに向けて、どんな進化を見せてくれるのか、ぜひ注目して頂きたい。 西尾典文（にしお・のりふみ） 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所（PABBlab）」主任研究員。 デイリー新潮編集部