性犯罪“被害者”への謝罪文を「生成AI」で作成し物議 「メリットはありません」弁護士がきっぱり言い切る理由
弁護士による謝罪文代筆はよくあること?
――生成AIによる謝罪文作成の衝撃が大きくて見逃していたのですが、そもそも加害者本人ではなく、代理人である弁護士が謝罪文を代筆すること自体はよくあるのでしょうか。 本庄弁護士:弁護士によって対応が異なると思いますが、弁護士が代筆するケースは少ないと思います。私自身は代筆したことはありません。 ただし、今回のケースのように加害者によっては文章の作成能力が低いことがありますので、その場合には謝罪文を作成する目的を説明した上で、加害者の考えを聴き取り、一緒に文案を考えるということはあります。 また、加害者が作成した謝罪文を弁護士が“添削”するケースは少なくありません。誤字・脱字はもちろんのこと、被害者に誤解されてしまう可能性がある表現や不適切な表現は修正することがあります。 しかし、弁護士が謝罪文を「一からすべて作成した」と明らかになれば、前述した謝罪文の「目的」に反していることはもちろん、被害者の感情を損ね、裁判で加害者にとって不利になってしまう可能性すらあると思います。 ――一般的に加害者が被害者に謝罪文を提出することは、加害者の刑事処分の情状酌量にどの程度の影響力を持つものなのですか? 本庄弁護士:謝罪文の提出だけで情状酌量において大きな意味を持つことは少ないと思います。加害者が真摯に反省していることを情状として評価してもらうためには、加害者やその関係者が再犯防止のために考えている具体的な対策や、実際に行動に移していることを明らかにする必要があるからです。 ただ、示談成立は情状として大きく有利に評価されることがあります。この示談交渉の際には、謝罪文の内容を踏まえて被害者が示談に応じることもあるため、その意味では謝罪文の提出が影響を持っているといえるでしょう。 謝罪文の内容によっては、示談を拒否されることもありますし、弁護士が作成したり、生成AIを使用していたと被害者が知った場合は言わずもがなですね…。