駒大・大八木弘明総監督の助言も胸に 女子が都大路初出場を決めた駒大高校「当たり前のことを、顧問がいなくてもできるように」
都大路での目標は「8位入賞」
生徒さんたちの変化を渡邉先生は実感していました。「勝ちたいのだったら、当たり前にできる行動を当たり前にする。練習はもちろん、生活面もしっかりやる。全国へ行きたいんだったら、忘れ物をしないよね、整理整頓は当たり前だよねというところですね」。そういった練習以外の場面が改善されていくと、競技の成績も上がっていったそうです。 「本当に不思議なのですが、それを感じたこの5、6年でした。また、記録が伸びただけでなく、公式戦では先頭や前の方で自信を持って走る選手が増えました。『都大会だったらレースを作るのは当たり前』『だって全国へ行きたいんでしょ』という空気がチーム内でも浸透しています。記録会でも都大会でも、前の方で勝負するという姿勢に変わってきました」 そして、今年の都駅伝では女子が初優勝。男子も2位に食い込みました。 「女子は都大会は勝ちましたが、まだまだというところです。生徒たちは都大路で8位入賞を掲げているので、それにどこまでチャレンジできるか近づけるのかですね。目標にして準備したいと思います」。指導者として今後の目標については「もちろんここがゴールではないですし、今年は結果として都駅伝は女子優勝、男子2位でしたが、来年こそは男女で優勝して、男女とも都大路に行きたいです。今の生徒たちが思っていることなので、達成できるように指導していきたいです。また、高校3年間で人間教育を大切にしていきたいです。いろんな経験をして、成長して、次のステージに進んでもいろんな場所で活躍できる人を育てていきたいです」とお話しされました。
3年生の選手、お2人にも話を伺いました!
都駅伝で区間賞を獲得した3年生の野口麻衣子選手、中尾夕菜選手にもお話を伺いました。今大会は1区の松田悠楽選手(2年)が区間3位の好位置でつなぎ、2区・中尾夕菜選手(3年)が区間賞の走りで順天高校を逆転して2位に浮上。3区で順天高校がトップに立ちましたが、3区の堀一彩選手(3年)、4区の伊藤晴香選手(1年)がともに区間2位で粘り、先頭と27秒差でアンカー5区の野口麻衣子選手へ襷(たすき)リレー。野口選手が逆転し、8秒差をつけて初優勝のフィニッシュテープを切りました。 主将 野口麻衣子選手(都駅伝5区区間賞 3000mベスト9分35秒39) 「昨年、都大路に行けず本当に悔しい思いをして、チームの意識が変わりました。キャプテンになって、絶対自分の代で都大路に行こうという気持ちでした。言葉だけではなく結果で引っ張っていこうと意識していました。個人ではインターハイに出場しましたが、最初1000mの入りからついていくのに精いっぱいでした。このままでは都大路で戦えないと思い、そこからさらに気持ちを切り替えました。(都駅伝では)27秒差で襷をもらって、正直不安もありましたが、絶対ここで決めるしかないと思って走り出しました。見える位置でつないでくれたみんなにありがとうと思いましたし、沿道からもみんなが応援してくれました。(今後の目標について)都大路は初出場でも入賞を狙う勢いで、全員でちゃんと合わせて頑張りたいと思います。大学でも1年目から全日本や富士山で使ってもらえるような選手になりたいです」 今シーズンはインターハイやU20日本選手権にも出場し、東日本女子駅伝では東京都代表で出走。5000mでも昨年16分16秒53で走っており、1500m、3000m、5000mの3種目で駒大高校記録を保持しています。 中尾夕菜選手(都駅伝2区区間賞 3000mベスト9分43秒55) 「昨年の都駅伝では大差をつけられての2位でした。都大路にたどり着くまでの道のりはまだまだだと感じました。今年は夏にけがをして、苦労したところもありましたが、なんとか合わせることができました。(都駅伝では)個人の走りは納得いっていないです。(前を走る)順天高校と7秒差で、(中継所では)詰めて同じくらいで襷を渡しましたが、本当は差をつけて渡したかったです。ただ、そのあとの3区、4区、5区を信頼していたので、信じて応援しました。アンカーに渡った時に27秒差でしたが、いけると思っていました。この1年苦労してきたこともありましたし、涙が止まりませんでした。(今後の目標について)都大路では入賞を目指して、ここからもっと個人の勢いも大事にしながら頑張ろうと思います。大学での目標は、私はスピードが得意なので、長い距離も頑張りながら、スピードランナーとして1500mや駅伝の短い区間でも頑張りたいです」 スピードが得意という中尾選手は今シーズン、800mで2分12秒94の駒大高校記録を樹立しました。 私、M高史が部活に顔を出させていただくと、生徒さんたち一人ひとりが元気よくあいさつに来てくださいます。大八木総監督のDNAを受け継ぎ、練習から生活面まで、丁寧にきめ細やかな指導をされている渡邉先生。顧問として生徒さんたちといつも真剣に向き合い、情熱に満ちあふれている草島文勝先生。外部コーチで時に生徒さんたちと走り、鼓舞し続ける田中幸二コーチ。トレーニングからケアまで幅広くサポートしている石井輝コーチ。卒業生、生徒さんたちのご家族をはじめ、応援されている皆さん。皆さんの思いが1本の襷に込められて、都大路の舞台を思いっきり駆け抜けてほしいと思います!
M高史