債券先物は上昇に転じる、10年債入札を無難に通過-10年金利は1.08%
(ブルームバーグ): 3日午後の債券相場は先物が上昇に転じた。警戒された10年国債入札の結果がおおむね無難な内容となったことで、先物や現物債に買い戻しが入っている。日本銀行の植田和男総裁の発言を受けた早期追加利上げ観測の高まりが利回り水準を引き上げ、一定の需要が集まった。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、10年入札結果は「気持ち弱めで、予想レンジの下限」と指摘。植田総裁の発言を利上げの地ならしと受け止めた参加者も多かった中で、「1.1%を下回る10年債の需要に懐疑的な見方もあったが、平均落札価格などから判断して、しっかり買う人もいたという結果だ」と述べた。
10年債の入札結果によると、最低落札価格は98円32銭と市場予想(98円34銭)をやや下回った。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は5銭と前回4銭から小幅拡大。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.12倍と、前回(3.13倍)とほぼ同水準だった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、10年債入札は応札倍率、テールともに弱めで、最低落札価格も予想の下限だったとし「弱めの結果だった」と指摘した。一方、長期金利については「上昇しても1.1%で跳ね返されるだろう」との見方を示す。
--取材協力:日高正裕.
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Saburo Funabiki