「AIと結婚して何が悪い?」技術革新は、変化を面白がれるオスに「ユートピア」をもたらすのか【和田秀樹×池田清彦】
「ヘンなこと」を考えるオスが少ない社会はダメになる
池田 海外ではAIのほうがいいという話になったとしても、日本人は頭が固いからね。合理的かどうかより、とかく感情的に反対する人がたくさん出てきそうだ。でも、社会全体での話はさておき、「人間よりもAIのほうがいい」と思う人は必ず一定数出てくるわけで、その新しい変化を受け入れて楽しめる個人にとっては、やっぱりユートピアなんじゃない。 和田 結局、どんなものが生み出されるかというのは技術の範疇ではなくて、人間の想像力の範疇ですよね。今いろいろな分野で日本が世界に遅れをとっているのは、技術が劣っているわけではなくて、日本人の想像力が遠慮がちだということではないでしょうか。 池田 そうだと思います。すでに話したけど、生物の世界では、群れの中で「みんなと違う行動をとるオス」が変化を引き起こす。それなのに「ルールを守りましょう」という教育をずっと続けてきたせいで、「みんなと違う行動をとるオス」が極端に減ってしまったんだな。「ヘンなこと」を考えるオスが少ない社会は先々ダメになります。 和田 AIにしても医療にしても、世の中というのは常に進歩していくものだという前提でものを考えないといけませんね。高齢者の血圧や血糖値が高くても、10年後はiPS細胞をパラパラと動脈にまけば若返る、そんな技術ができているかもしれないのですから。 池田 できないとは言い切れないですね。 和田 大半の医者は自分が学んだ段階を起点として、医学がほぼ進歩しないことを前提に患者さんにあれこれ生活指導をしますが、これ、実際は問題だらけかもしれませんよ。 池田 デビッド・A・シンクレア(老化そのものがまとめて一つの病気であるという説を提唱)じゃないけど今の医学は「病気を治す」ことしか考えていないものの、「悪いところはリニューアル」が常識になれば、現在の常識なんてひっくり返る。そのうち120歳ぐらいまで普通に生きられるようになるかもしれないね。 和田 世界中で進められている「若返り」の研究は、いつか現実になるでしょう。 池田 人間も社会も、かなり面白いことになりますね。
---------- 和田秀樹(わだ ひでき) 1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『60歳からはやりたい放題』『90歳の幸福論』『60歳からはやりたい放題[実践編]』『医者という病』(扶桑社)など著書多数。 ----------
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