リニア工事が影響?水位が低下した井戸 能登半島地震で「重要性」が再認識された矢先に…
震災で再認識 井戸の「重要性」
リニア中央新幹線のトンネル工事が進められている岐阜県瑞浪市の大湫町。町内の複数の井戸やため池で水位の低下が確認され、一部の水源が枯渇していました。 JR東海は、影響が出た井戸について上水道に切り替える作業を行うなど、代替水源の確保に取り組むとしています。 井戸については、2024年元日に発生した能登半島地震で、その重要性が改めて見直されています。 石川県によりますと、地震発生から4カ月以上がたった5月10日時点で、県内2680戸ほどで断水が続いています。 断水が続いた地域では、住民の生活用水を確保するために「井戸」が活用されました。
必要なのは飲料水だけじゃない!
災害が発生した際、1人が必要な飲料水は1日3リットルされています。 また、国土交通省が公表している「日本の水資源の現況について」によりますと、人がトイレやお風呂などに使う生活用水は、1人当たり1日262リットルとされています。 災害時には3リットルの飲料水だけでは、全然足りないということがわかる数字です。
井戸を“普段使い”し、災害時に備える病院も
災害発生時、断水した場合に困るのは人々の日常生活だけではありません。病院も同様です。 三重県鈴鹿市の鈴鹿回生病院では10年以上前に井戸を掘り、そこから出た井戸水を消毒・濾過して院内のライフラインで普段から使用しているといいます。 災害発生時に水道が止まったとしてもその井戸水を使うことで、水が確保できる体制をとっています。 さらに、鈴鹿回生病院は自治体と連携をはかっています。 災害が発生した際には病院の井戸は「防災井戸」として活用されます。 トイレや風呂などの生活用水として井戸水の一部を周辺住民に供給することができるよう「災害時における地下水の提供に関する協力協定」を結んでいるのです。
名古屋市内にある「協力井戸」とは
名古屋市では安全に水をくみ上げられるかなど、一定の条件を満たした家庭用の井戸を「災害応急用協力井戸」として指定します。 そうした井戸は、発災時にトイレの流し水など(飲料水を除く)の生活用水として使うことができるようになっていて、2024年3月末時点で434の家庭や施設の井戸が「災害応急用協力井戸」として登録されているということです。 しかし、市が指定する「協力井戸」の数は年々減少傾向にあり、南海トラフ巨大地震の発生が予測されている東海地方では、備えが不可欠です。 まずは、自分や家族が必要とする水(飲料水や生活用水)を十分に確保しておく必要があるでしょう。 その上で、水を使用しなくても衛生環境を整えられるよう、体を拭く用途にウエットティッシュや、水を使わないシャンプー、簡易トイレなど、節水につながるグッズを常日頃から備蓄しておく事も1つの方法です。 (メ~テレ記者 横谷実耶)