「いちいちドカドカ爆音立てて部屋の中歩くな」 SNSに溢れる“隣人ガチャ”への叫び ハズさない5カ条、失敗しにくいクレームの言い方
最近、SNSで見かけるようになった「隣人ガチャ」という言葉。あまりに運任せな、隣人トラブルの環境に悩む声があふれている。 【映像】隣から「ドン!ドン!」 実際の音 関西に住む河合さん(仮名・40代)もその1人。「ほんまええ加減にしてくれよと、怒りがあった」。14年前に中古一軒家を購入したが、最近は隣人が庭の手入れをしなくなり、蚊が大量発生しているという。 コミュニケーションのすれ違いから、互いにヒートアップしていった経緯も。河合さんが住みだしてしばらく経った頃、隣人が「桃の木があると洗濯物に黒い虫が付く」「ミントのタネが飛んでくる」などと主張し、河合さんは言われるがまますべて抜き取った。しかし、こちらが雑草を抜いてくれと言っても、相手の庭は荒れ放題。家のローンもあり、「しばらくはこのまま我慢するしかない」と語る。
■SNSに書き込まないとやってられない…「人を変える」隣人ガチャ
「もうやめて 頭痛やばいのに隣が暴れてる なんなの!!!!!!!!」 「うるっっっさい いちいちドカドカ爆音立てて部屋の中歩くなクズ」 Xにそんな投稿をしたのは、東京近郊のマンションに住むモリさん(仮名・30代)。音が聞こえるとスマホで録音し、実際の映像には確かに「ドン、ドン」と繰り返される音が。これが朝晩ほぼ毎日、長い時は数時間にわたって繰り返されたという。 「自分に何かされているのかなと、最初は怖くて。息を殺して、料理もせずに、電気もつけずにいた」と振り返るモリさんは、2月にこのマンションに引っ越してきたばかり。前の部屋からの引っ越しもまた「隣人の騒音」が理由だった。 隣人ガチャのハズレが続き、管理会社や役所にも対応を求めたが、効果はなかったという。やり場のない思いが、あのSNSの叫びにつながっていた。「こんなこと書きたくないけど、書いてないとやってられない。(隣人ガチャは)人を変える」。結局、わずか8カ月での引っ越しを決断した。
■隣人トラブルに他人が介入しにくいワケ
警察庁がまとめた隣人トラブルに関する相談件数は年々増加し、2019年の約27万件から、2023年は30万4477件。隣人トラブルの上位は「騒音・生活音がうるさい」(34.4%)、「ご近所付き合い・あいさつ」(33.6%)、「隣家の植物や私物の侵入」(19.1%)となっている。最近の事例として、自動車盗難や闇バイト対策から設置が増えた「監視カメラ」をめぐるプライバシートラブルや、対戦ゲーム配信中の声の大きさなどがある(出典:トナリスク、データ・調査結果などは以下同)。 グラビアアイドルの麻倉瑞季は、近隣から騒音を指摘された経験があるという。「床に吸音材を敷いているが、舞台の稽古やダンス練習、発声などをしていたら、2度注意された」。ただ、引っ越したくなかったため、セリフ読みはカラオケボックスで、ダンス練習はダンスルームを借りるようにしたという。「引っ越すとお金がかかってもったいない。ならば自分が変わることが正解だと思った」と語る。 隣人トラブルに他人が介入しにくい理由として、「何度も警察に注意してもらっても、⼀向に改善しない」「役所に相談しても『住⺠同⼠のトラブルには介⼊できない』と⾔われた」「弁護⼠には『強い証拠がないと動けない』と⾔われた」などがある。 弁護士に相談する際は、「証拠がある場合」「損害が発生している場合」「相手が特定できる場合」には、損害賠償請求ができる可能性があるという。また、嫌がらせなど人間関係のトラブルは比較的対応してもらえるが、「お金はいらないからとにかくやめて欲しい」という要望は法的に要求しづらいことが多く、協力してもらえないことが多いようだ。 トナリスク代表の西俊介氏は、過去の判例で“十分な証拠”とみなされる可能性は「ほぼ皆無」だと語る。「隣のマンション工事の騒音などは認められることがあるが、隣家が原因と認められたケースはないに等しい。『上の部屋から騒音が出てる』とわからないとダメだ」。 モリさんは騒音の大きさは調べられたが、「上か、隣か、斜め上かは、結局特定できなかった」という。「場所を特定してほしいと管理会社と役所に相談したが、『それはプライバシーだからできない』と言われた」。