トランプ大統領誕生でグローバル社会はどう変わるか 橋爪大三郎(社会学者)
日米同盟はどう変化するか。日米安保条約が、日本を防衛するものから、アメリカを防衛するものに重点を移す、と予測すべきである。北朝鮮や中国のミサイル や潜水艦を早期に把捉し攻撃する能力は、日本に期待される。しかし北朝鮮の安全を保障するのとひきかえに、周辺の軍備を縮小するなど、アメリカの国益を優先する取引きを行なう可能性もある。逆に、北朝鮮を先制攻撃する可能性も、わずかとは言え、考慮しなければならないだろう。中国との取引きのため、在日米軍を縮小することもありうる。「アメリカが同盟国として日本を守ってくれる」ことが、日米安保体制の大前提とは言えなくなるのだ。 このことに気がつくと、日本の世論は過敏に反応するかもしれない。日米同盟を基本にアメリカの関与を継続させるように仕向けつつ、慎重に、合理的で現実的な選択肢をさぐる努力をしなければならない。