認知症の前兆は40歳前後から現れる!50代になる前に回復すべき「脳機能」の仕組みを医師が解説
65歳以上の5人に1人が軽度認知症といわれる昨今、40代でもプレMCI(軽度認知障害)であることも珍しくない。働き盛りで脳を酷使している40代男性こそ、ケアを始めるべきではないだろうか。 ▶︎すべての写真を見る 難しいことではなく、「ちょっとだけ、できることを」の積み重ねが、10年後の人生を変えられる。そう教えてくれたのは、認知症予防専門クリニック・ひろかわクリニック院長の広川慶裕さんだ。
40代のうちにいかに脳ケアを取り入れておくかが、10年後、20年後に差をつけるようだ。
40歳から脳機能の衰えは始まっている⁉ 「かんたんチェックリスト」
ーー40代でも認知症予備群に入っていることもあるって本当ですか? まず、軽度認知症まで含めると、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が該当するともいわれています。 しかし実は、認知症は突然発症するものではありません。「MCI(軽度認知障害)」と呼ばれる前段階があり、普通に生活できていても、検査をしてみると脳の状態や脳機能に衰えがみられる状態です。 具体的には、「新しい仕事だと手間取ってスムーズにこなせない」「会話にアレやソレが増えた」などの症状がみられます。 大体、40歳前後~60歳にMCIの症状が現れ始め、5年後には約半数が認知症を発症するというデータが出ています。60~65歳くらいで認知症を発症すると考えた場合、40歳頃から認知機能が下がり始め、50歳頃にMCIになるというのが、多くみられる典型的パターンですね。 さらに、MCI手前の状態であっても、脳の画像を見ると血流低下や海馬の萎縮がすでに始まっているケースも。この「プレMCI」状態に自覚症状はほとんどありませんが、放置すると何年後かには確実にMCIの症状が現れます。 40代はまさに、脳機能の回復を始める大切な時期であるといえるでしょう。 かんたんチェックリスト もし、ひとつでも心当たりがあれば、脳が確実に衰え始めているサイン……。 □以前のように仕事がテキパキできなくなった □趣味が面白くなくなってきた □若い頃に比べて疲れやすくなり、居眠りが増えた □同じことを繰り返し言ったり、尋ねたりするようになった □会話の中に、アレ、ソレが多くなった ーー脳細胞は毎日死ぬとよく聞きますが、死んでしまった細胞は回復できないのでしょうか? まず、脳の機能は「歳だから衰える」のではありません。 今までは脳の大きさは25歳ごろがピークで細胞もどんどん減っていくと思われていましたが、最近の研究により、成人後の脳でも新しい細胞が生まれ、脳内機能の連携が発展することが確認されています。 脳の機能は「歳」ではなく、さまざまな生活習慣が積み重なり、それが原因で低下するのです。