裁判・紛争だけじゃない、士業専門コンサルタントが教える弁護士活用法(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■常に落としどころを考えている弁護士は優秀
弁護士の見極め方のひとつが交渉力。もうひとつが「和解力」です。まあ、これは私がつくった言葉なので、弁護士業界にはない言葉ですが、要は「判決以外の解決(和解)方法をどれだけ考えているか」が、優秀な弁護士を見抜くもうひとつのポイントになります。 最終的に、どこを落としどころにするか。例えば、あなたが商標権を侵害されたとしたら、どこを落としどころにするのか。内容証明郵便で、侵害している企業に警告をし、それでも使用を止めない場合、訴訟を起こすのか。 普通に考えれば、商標の使用差止めと損害賠償請求訴訟を起こします。しかし、侵害されていたとして、それが本当に自社の利益を奪われるほど影響力のある会社なのか。損害賠償請求するほどの損害が出ているのか。 例えば、こういった例で、影響が少ないのであれば、「放置」というのもひとつの落としどころです。問題の落としどころをどこに設定するのか。これを考え、提案できる弁護士が優秀な弁護士と言えるわけです。 これは、相談した際に聞けばわかることです。「先生は、この案件の落としどころはどこにあると思いますか?」と。もちろん、あなたの意見もあるでしょう。先ほどの例でいえば、商標権の侵害状況を解決したいのか、納得がいかないからとにかく損害賠償請求したいとか。 言い方を変えれば、あなたの言いなりだけの弁護士には、価値がないということ。案件の全体を俯瞰して捉え、あなたにとってベストな落としどころを提案してくれる。別の言い方をすれば、解決手段をできるだけ裁判に頼らない弁護士。こういった弁護士を選択することが、あなたの問題解決に力を貸してくれるということになります。 まとめると、良い弁護士。つまり問題解決を実現してくれる弁護士とは、法律的な知識や能力だけではなく、高い交渉力があること。そして、落としどころを常に考えられる思考力の持ち主、ということになります。