「陸地が消えた」、築200年の邸宅に海岸浸食の危機 アイルランド
アイルランドのバリーヒーリー海岸近くに立つ築200年の邸宅に、海岸浸食の危機が迫っている。この場所で育った家の所有者、ウィリー・ピアースさんは、家と海岸の間に石垣を積み続けることしか手立てはないと語った。 2世紀にわたって家を受け継いできた所有者のピアースさん夫妻が、この家を救うために残された時間はあとわずかだ。約30年前の写真には、今とは異なるバリーヒーリー海岸の風景が写っている。 ラル・ピアースさん 「これまでになく海が近づいている。海岸線が近づいても戻っていたが、今はそのままだ。そこにあった陸地は、全て消えてしまった。結婚して、この場所に来た時、そこに大きな砂浜があったのを覚えている。仕事後や土曜日にはよく、本を持って広い砂浜に向かっていた。とても自然な場所で、家から数キロは離れていた」 ウィリーさんが家から数メートルの場所に積み上げた石垣に、波が打ち寄せている。この場所はウィリー・ピアースさんが育った家だった。ピアースさん夫妻や親せきは、最近まで休暇の際に利用していた。 地元議会は、この家の保護に協力することはできないとしたため、ウィリーさんにできるのは、石を積み続けることだけだという。 メイヌース大学の科学者らは、気候変動が一因にあると指摘した。調査によると同地域の海面は19世紀以降、20センチほど上昇。海面上昇による高潮で、同地などでの海岸浸食はさらに早まるという。 ラルさんは家周辺の変化が急速で、海岸浸食のスピードに衝撃を受けたと語る。 「常に心配している。でも、どうしようもない」