横浜が27年ぶりV 1997年の松坂大輔以来 九回の大ピンチで奥村頼人が1点差締め/神宮大会
明治神宮野球大会最終日(25日、横浜4-3広島商、神宮)決勝が行われ、高校の部は横浜(関東)が広島商(中国)に4―3で競り勝った。日米通算170勝の松坂大輔氏(44)が2年秋に優勝した1997年以来、27年ぶり2度目の制覇。九回1死二、三塁から救援登板した奥村頼人(らいと)投手(2年)が好救援を見せた。 最強といわれた松坂世代以来、27年ぶりに秋の神宮大会を制した。横浜・奥村頼は九回2死三塁、相手打者を空振り三振に抑え、優勝を決めると喜びを爆発させた。 「ずっと目標にしていた秋の完全制覇を達成することができて本当にうれしい」 一回、4番・小野の中前2点打で先制。二回には主将の阿部葉が左中間へ2点二塁打を放ち、4点をリードする。七回に2点差に詰め寄られて、迎えた九回。先発した1年生の織田がピンチを招いた場面で、村田監督は迷わず左翼にいた奥村頼へスイッチした。 奥村頼は試合前、横浜の渡辺元智元監督から言葉を掛けられた。「キョロキョロするな。集中しろ。腕を振って投げれば抑えられただろ」。松坂氏を育てた名将の言葉を胸にマウンドに上がり、「自信のある真っすぐで押しきれた」と笑顔を見せた。 昨夏の神奈川県大会決勝で慶応に5-6、今夏も東海大相模に決勝で4-6で競り負け、2年連続で甲子園出場を逃した。「本当に苦しかった」と振り返る指揮官の励みになったのは恩師、渡辺氏の言葉だった。 「試練を乗り越えられない人に試練は与えられない」 新チーム結成後、県大会、関東大会、神宮大会を第1章、第2章、第3章と位置付け、目の前の試合を勝つことに集中。ミーティングで初戦から決勝まで勝ちきるための作戦を細かくシミュレーションして意思統一を徹底した。3大会を全て制し、村田監督は「準備に勝るものはない。準備力で相手に勝った15試合だった」と語った。 松坂氏の世代は1997年に神宮大会を制覇し、翌98年に甲子園春夏連覇、国体優勝まで公式戦無敗の44連勝で、4冠を成し遂げた。今季のチームはここまで公式戦無敗の15連勝で、偉業の再現に挑む。「喜ぶのは今日まで。明日からは選抜に向けて切り替えてやっていく」と奥村頼。厳しい冬を乗り越え、来春の甲子園でも強さを示す。(児嶋基)